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2026.01.16
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[iREX2025レポートvol.3]ロボットハンドも着々と進化

爪でワークを回す発想

シュンク・ジャパンが展示したワークの反転グリッパー

 ドイツに本社を置くロボットハンドメーカーの日本法人シュンク・ジャパン(東京都品川区、星野泰宏社長)は、メカ式のグリッパーを中心に幅広いアプリケーション(使い方)を展示した。

 その中で注目を集めた一つが、グリッパーの爪に回転機構を設けてワーク回転させる提案だ。
 「ロングストロークグリッパー PSH」に「旋回フィンガー GFS」を装着した。GFSには回転機構を内蔵しており、ワークを反転させられる。従来はワークをジグなどに一度置いて持つ方向を変えていた。

 担当者は「垂直多関節ロボットだけでなく、加工機などにワークを載せ替えるマシンテンディングの用途で使われやすいガントリーロボットに組み合わせても効果的」とアピールする。

繊細さも力強さも

ThinkerがiREX2025で見せた硬貨のハンドリング技術

 Thinker(シンカー、大阪市中央区、藤本弘道最高経営責任者<CEO>)は、新型のロボットハンド「Think Hand Proto-1(シンク・ハンド・プロト1)」で素早く繊細なワークハンドリング技術と力の必要なはめ込み作業の両立を披露した。

 四隅を固定して空中に張ったティッシュペーパーの中心に硬貨があり、それをロボットハンドで2秒ほどで取り上げる。その後、硬貨を樹脂製のケースに入れ、ふたを閉じてはめ込む。
 硬貨を持ち上げるには爪先の力が必要だが、力を入れすぎるとその下のティッシュペーパーを破いてしまう。それを繰り返すのは、人間でも嫌になるような作業だ。ふたをはめ込む際も絶妙な力加減が必要となる。

 今回発表したシンク・ハンド・プロト1は、赤外線や人工知能(AI)を駆使した独自開発の「近接覚センサー」を爪の根元に内蔵している。その近接覚センサーの動きで爪の動きを認識することで、爪がティッシュペーパーに当たったり、ふたを閉じたりした際の微弱な力を検知して、ハンドの動作にフィードバックしている。
 中野基輝最高技術責任者(CTO)は「繊細さと力強さの両立をアピールしたかった。実際に微小な光学レンズを取り上げて、スポンジ状の緩衝材にはめ込むような導入例もあり、類似の案件にどんどん挑戦していきたい」と話す。

「見て学ぶ」ロボット

FingerVisionがiREX2025で見せた双腕の模倣学習ロボット

 FingerVision(フィンガービジョン、東京都江東区、濃野友紀社長)は小型のロボット2台を使った双腕の模倣学習ロボットをアピールした。
 同社は、画像処理技術で力の分布や滑りなどの触覚を間接的に把握する「視触覚センサー」をコア技術にする。そのセンサーを爪に内蔵して、ワークの重心や滑り具合などを認識して、把持する力加減を調整できるロボットハンドを手掛けてきた。

 今回アピールした模倣学習システムではロボットが「見て学ぶ」のが特徴だ。
 人が2本の操作用アームを両手でつかんで動かすと、奥のロボットが同様の動きをする。いわゆるマスタースレーブ方式の制御だ。ロボットを動かした際の視触覚センサーやロボット本体、その周囲に取り付けたカメラでの映像も駆使してAIに人の作業を覚えさせる。

 担当者は「不定形のワークにも対応できるようなロボットハンドのため、ロボットの導入に不慣れな環境で使われることも多い。そのため、わが社のコア技術も生かせる形の模倣学習用のシステムを開発した」と話す。

5本指ハンドの進化

中国勢がiREX2025で見せた多数指のロボットハンド

 今回展で5本指のロボットハンドを盛んにアピールしたのは、中国勢だ。
 上海に本社を置く傲意信息科技(OYMotion Technologies<OYモーション テクノロジーズ>)は親指部分を手の平の内側方向に曲げられる5本指のロボットハンドを展示した。この内側に入れる動きで、さまざまなワークを安定して把持できるようになったという。
 また、深センに本社を置く帕西尼感知科技(PaXini Tech<パクシーニテック>)は、カメラで認識した人の手の動きを模倣する4本指のロボットハンドを展示した。

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