2026.03.04
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量産体制の確立とフィジカルAIの社会実装を/Closer

筑波大学発の人工知能(AI)ロボティクススタートアップのCloser(クローサー、茨城県つくば市、樋口翔太社長)が、ロボットシステムの量産に向け体制を強化している。昨年7月に新拠点を開設したが、その後12月に4億2000万円の資金調達を実施。さらなる拠点の拡張や人員増強に取り組むとともに、技術開発も強化してロボットが自律的に動作をする「フィジカルAI」の普及も図る。

水野敦志:ロボットダイジェスト編集部)

大手食品グループなどに導入が拡大

「大手や中堅規模のメーカーからの受注が増えている」と語る樋口翔太社長

 Closerはパレタイジング(積み付け)を自動化するパッケージシステム「Palletizy(パレタイジー)」や、包装製品のピック&プレースを自動化するシステム「PickPacker(ピックパッカー)」を主力製品とする。自動化が難しい多品種生産の現場でも運用しやすく、大手食品メーカーの製造工場にも導入実績がある。
 「製造現場からの引き合いは、当初の想定を上回るスピードで推移しており、昨年は事業規模が飛躍的に拡大した。今年もすでに昨年並みの受注があるが、さらなる事業拡大には量産体制の確立が急務」と樋口社長は語る。

 そこで昨年7月、つくば市内に新たに製造拠点を開設した。マルチテナント型の物流倉庫の一画に位置し、ロボットシステムの組立工場として運用する。「今までの拠点は、組み立てに割けるスペースがパレタイジー2台分ほどしかなかった。受注が増え複数台を並行して作らなければ生産が追い付かなくなり、新拠点を開設した」と樋口社長。新拠点は複数台を組み立てるスペースがあるのに加え、パレタイジーのデモ機も複数台置き、そこで顧客の荷物を使ったテストもできる。

拠点拡充と採用強化を

新拠点では複数台のロボットシステムを並行して組み立てられるようになった

 量産化に向け、拠点の拡大以外にも必要な取り組みはある。例えばパレタイジーの部品である架台やアルミフレームなどの製造は外注するが、それらの組み立て、ロボットの据え付け、電気配線、そして納入後のユーザーサポートなどは自社で行う。「量産設計や作業の標準化、品質管理の強化を進め、より効率的かつ確実に製品を提供できる体制を作る」と樋口社長は言う。

 さらに昨年12月には総額4億2000万円の資金調達を実施した。樋口社長は「さらなる事業拡大を見据え、新しい製造拠点や営業所の新設を予定している。今回調達した資金で生産体制を拡充するとともに、設計や製造、営業などあらゆる人材の採用強化にも取り組む」と力を込める。
 深刻化する労働力不足の解消に向け、量産だけでなく開発も強化する。「ピックパッカーはカメラで対象物を認識し、その位置や形状に合わせてリアルタイムでロボットの動作を生成する。この画像処理ソフトウエアは独自開発しており、今後もこうした技術開発を進めてフィジカルAIの社会実装に貢献したい」と展望する。

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