生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.08.30

伸びる生地で防水や防汚を実現/テイアイテイ

高機能繊維商社のテイアイテイ(千葉県柏市、竹ノ内至秀社長)は、シリコーンコーティングした特殊な生地「シリコテクス」を武器に、ロボット保護カバー市場に参入を図る。4月には、シリコテクスを使用した協働ロボット用の保護カバー「RobotFit(ロボットフィット)」を発売した。「伸縮性が高いため、ロボットアームの動作に追従でき、着脱も容易。形状をシンプルにできるため、コストも抑えられる」と諏訪秋彦開発営業課長は言う。

コーティングが割れない

これまでに開発した自社企画の製品

 テイアイテイは、特殊な機能繊維を扱う専門商社だ。糸や布だけでなく、布を縫製して作る自社企画の製品まで幅広く扱う。

 これまでは耐熱手袋や帯電防止コードカバーなどの自社企画製品を販売してきたが、4月に新たに協働ロボット用の保護カバー「ロボットフィット」を発売した。ロボットアームを水や油、薬品、ほこり、粉じんなどから保護するための製品だ。  
「ロボット市場は拡大傾向にあり、調理用ロボットシステムなど用途も広がっている。ロボット用カバーなら自社の強みである高機能繊維のノウハウを生かせる」と諏訪課長は参入理由を説明する。

 ロボットフィットの大きな特徴が、独自素材シリコテクスを採用したこと。布は、縦糸と横糸で織った「織物」と、糸を編んだ「ニット」の2種類に大別できる。ニットの方が伸縮性は高いが、コーティングを施すと伸縮時にシリコーンが割れてしまうため、従来は伸縮性とコーティングの両立は困難だった。この両立を可能にしたのがシリコテクスだ。

コーティングが割れずに伸びる独自生地シリコテクスを活用

 シリコーンコーティングにより防汚性、耐薬品性、防水性に優れ、200度までの耐熱性もある。「色はダークグレーで人工皮革のような質感を持ち、見栄えもよい。人が着るには重い生地だが、ロボットには最適」(諏訪課長)。
 伸縮性のない生地でカバーを作ると、ロボットの動作が制限される。関節部分で分割して装着する構造なら動作の制限はなくなるが、着脱の手間が増え、形状が複雑になる分コストも上がる。しかしロボットフィットなら、シンプルな筒状で、ロボットの動作を妨げずにロボットを保護できる。形状がシンプルなので裁断や縫製の手間が少なく、コストも下げられる。

TOP