ロボットによるPCR検査システムを公開/川崎重工業
川崎重工業は10月22日、ロボットを用いた自動PCR検査サービスを開始すると発表した。同日、空港向けのPCR検査ロボットシステムのデモ設備を公開した。
このデモ設備があるのは東京都港区にある川崎重工の「東京ロボットセンター」で、同社の協働型の双腕スカラロボット「duAro(デュアロ)2」などのロボット8台からなるシステムだ。
同システムはトレーラーに積載できるようパッケージ化してあり、必要に応じて移動させられる。デモ設備の仕様では16時間で2000検体を処理できる。工程変更が容易で、新型コロナウイルスを対象とするPCR検査だけでなく、インフルエンザなど各種感染症にも応用できるという。
川崎重工が検査開始から陰性証明までを一つのサービスとして提供する。検体採取後の分析工程をロボットが自動で行い、検体の受け付けから検査結果の通知までの時間を通常の210分から約80分に短縮できるという。通常は3~5万円ほどのPCR検査の個人負担を、3分の1ほどの1万円程度に抑えることを目指す。
社長直轄プロジェクト推進室の辻浩敏室長は「社会的課題に、川崎重工グループ全体が横断的に関わるべく当推進室は設置された。同システムは今年度初めからの半年ほどで構築した」と話す。
新型コロナの感染拡大の初期から、同社は検査機器大手のシスメックスや、両社の合弁会社である医療機器メーカーのメディカロイド(神戸市中央区、浅野薫社長=シスメックス社長)とともに、医療従事者を感染リスクから守る目的で自動PCR検査システムの開発に取り組んできた。「それに加え、経済復興に向けて人の流動化を促進するための大きなプロジェクト」(辻室長)と話す。
11月からシスメックスのR&Dセンターで同システムの検証を始め、来年度にまずは空港での実用化を目指す。成田や羽田、関西の日本3大国際空港を中心に、導入に向けた調整を進めているという。
「従来の検査システムでは空港から離れた検査センターに検体を持参し、人が処理するため、感染リスクや時間を要するなどの課題があった。搭乗直前に陰性と分かれば、安心して飛行機に搭乗できる」と辻室長は自信をみせる。
(ロボットダイジェスト編集部 芳賀 崇)
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