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2025.01.17

連載

[ショールーム探訪vol.33]本物の物流倉庫で本番さながらのデモ/Phoxter「R&Dセンター」

関連業界も期待

基地局の免許を取得し、天井にローカル5Gのアンテナを設置している

 同センターの開設には、関連業界の大手2社が協力した。同社への技術開発の期待と、物流の自動化への関心の高さが表れている。
 ロジック南茨木を所有する東急不動産は倉庫スペースの区画を提供。自動化技術が発展し、人手不足に悩まされる物流業界の一助になることを期待する。さらに、施設に入居する企業に自動化を提案する拠点にもなる。すでに、フォクスターが手掛ける自動化システムの導入を決めた入居者もいる。

 NTTコミュニケーションズはロボットの稼働に必要な通信機器を提供した。限られた範囲内で通信環境を実現するローカル5Gやローカル4G(sXGP)の通信機器を設置。従来のWi-Fi(ワイファイ)を使った通信に比べ、安定した接続を実現する。本物の物流倉庫で、精度の高い検証ができると期待されている。

ロボットメーカーへの大きな一歩

 2017年に設立されたフォクスターは、搬送ロボットを組み込んだ物流システムを得意とするSIerとして事業を拡大してきた。「搬送ロボットを開発し、メーカーになることを設立当初から目指してきた」と話す矢部さん。これまでにも自社製の画像処理用コントローラー「StellaController(ステラコントローラー)」を開発した実績がある。自社製AMRの開発も進めており、「R&Dセンターを活用し、これから完成度を高めていきたい」と意気込む。

  • 「創業以来、順調に業績を拡大してきた」と話す矢部秀一さん

  • 開発中の自社製AMR

 11月14日には、事業用不動産サービスを提供するCBREなどと協力し、物流関連の企業向けに同センターで内覧会を開催した。以降も、広く顧客に自動化の可能性を見てもらうため、不定期ながらショールームとして内覧会を開催していく考えだ。「何かしら開発中の場合が多いので、いつでも全てのデモを見られる訳ではないが、実機を見られる場や機会を設けることは大切」と矢部さんは語る。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

[取材記者から]
リアルな物流倉庫でのデモは説得力がある。きれいなオフィスに飾るよりも少々無骨かもしれないが、実際に使う現場でどのように機能するか確認するという点において、これ以上にふさわしい場所はない。AGVやAMRのショールームはかくあるべき、とさえ思える。本来の役割である開発の現場としても同様だろう。開発拠点ゆえいつでも自由に見学できる訳ではないので、訪問を希望する場合はあらかじめ連絡を。


施設概要
名称:R&Dセンター
所在地:大阪府茨木市蔵垣内1-3-26 ロジック南茨木 バースW401
見学予約についてはフォクスターのホームページから


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