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2024.12.12

イベント

プラスチック専門展で省人化のニーズに応える提案/名古屋プラスチック工業展2024

垂直多関節ロボットとの組み合わせも

 会場では射出成形機と垂直多関節ロボットを組み合わせた自動化システムの提案も見られた。

 芝浦機械は射出成形の後工程の自動化システムを提案した。その一環で、品質データの蓄積や分析がリアルタイムでできるリモート監視システム「iPAQET(アイパケット)4.0」と垂直多関節ロボットを連携させたデモを実演した。
 まず、iPAQET4.0が射出成形品の品質データを自動で2次元コード(QRコード)に変換し、市販のラベルプリンターでシールに印刷する。その後、取り出しロボットが把持する成形品に垂直多関節ロボットがシールを貼り付ける。次はその垂直多関節ロボットで成形品を把持し、バリ取り用の赤外線ランプヒーターまで搬送する。最後にカメラでバリの有無を確認し、確認が終わった同じロボットで成形品を搬出用コンベヤーへと運ぶ流れだ。この垂直多関節ロボットにはシールと成形品の両方を把持できるロボットハンドが装着されているため、シールの貼り付けからコンベヤーへの搬送まで1台でこなせる。
 成形機カンパニー成形機技術部の橘田英晃部長は「射出成形の後工程の自動化は、競合他社がまだ十分に取り組めていない領域だ。わが社は後工程の自動化において、垂直多関節ロボットによる生産性向上に加え、iPAQET4.0を使ったトレーサビリティー(追跡可能性)の管理まで実現できる」と話す。

  • 品質データをQRコードに変換し、市販のラベルプリンターでシールに印刷する様子

  • 垂直多関節ロボットが成形品を搬出用コンベヤーに運ぶ様子

作業者のけがのリスクを低減

協働ロボットが熱成形装置内の金型に樹脂製シートをセットする

 協働ロボットを使って熱成形の工程を自動化する提案もあった。熱成形は熱可塑性(加熱すると軟化し、冷却すると再び固くなる性質)の樹脂製シートを加熱して軟化させたものを、金型で圧力をかけたり、負圧をかけたりして成形する工法だ。

 立型射出成形機の開発や製造を手掛ける佐藤鉄工所(名古屋市港区、佐藤安弘社長)は熱成形装置と協働ロボットを使った熱成形の自動化デモシステムを披露した。まず、協働ロボットが熱成形装置の扉を開けて樹脂製シートを金型にセットする。その後、協働ロボットが熱成形装置の扉を閉じると同時に熱成形装置に信号が送られ、熱成形が開始される。熱成形が完了すると、協働ロボットが再び扉を開け、金型から成形品を取り出す。

 エンジニアリング部制御技術1課の太田圭輔さんは「熱成形時は装置の中が高温となるためやけどの危険性がある。協働ロボットが成形品の取り出しや扉の開閉を担うことで、やけどのリスクを排除できる」と語る。

(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴、平川一理)




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