[特集 2023国際ロボット展vol.7]トレンドは「ソリューション提案」/ロボットメーカー
搬送の自動化に焦点
ヤマハ発動機は「μ to km(ミクロン・トゥ・キロメートル)」をコンセプトに、搬送の自動化に焦点を当てたソリューションを披露する。
μmレベルの高精度な位置決めが可能なリニア搬送システム「リニアコンベヤモジュール LCMR200」などを使った工程間搬送の自動化から、屋外環境でも走行可能な自動搬送用の電気自動車(EV)「FG-01」による工場間搬送の自動化まで、一気通貫で提案する。
同社は競争優位性の高いリニア搬送システムを筆頭に、主力のスカラロボットやAGV、自動搬送用EVなどの多彩なラインアップを持ち、さまざまな搬送作業の自動化ニーズに応えられるのが強みだ。そのため、ブースでは工程間、装置間、工場間の各領域の搬送の自動化ニーズに対し、一貫したソリューションという形で来場者に訴求する。
目玉の一つは、LCMR200を中心にスカラロボットやビジョンセンサーなどを組み合わせた“オールヤマハ”のデモライン。ロボティクス事業部の有本一郎営業統括部長は「高速で高精度な位置決めができるのがLCMR200の売りで、特に工程間搬送の自動化に威力を発揮する。LCMR200にはモジュール方式を採用しており、ラインレイアウトの変更にも簡単に対応できる」と説明する。
また、コスト競争力を強化したスカラロボットの新製品も多数展示する。半導体製造の後工程などのクリーンな環境で稼働する「YK-XECシリーズ」や、EV用バッテリーや太陽光パネルの組み立て作業の自動化に最適な大型のスカラロボットが主な見どころだ。
この他、現在開発中の7軸仕様の協働ロボットも参考出展する。今回は耐環境性の高いAGV「COW-el(カエル)シリーズ」と組み合わせた自動化システムとして展示し、動作デモを実施するという。
単体からソリューションへ
同社が「μ to km」のスローガンを掲げて搬送の自動化に本腰を入れ始めたのは昨年からで、同年3月に開催された前回展でも同じコンセプトで臨んだ。
「搬送作業には人手がかかるため、自動化のニーズが大きい。自社の強みを生かし、お客さまにプラスアルファの価値を提供できると考え、搬送の自動化に目を付けた」と有本営業統括部長は述べる。
また、従来はスカラロボットやリニア搬送システムなどを単体で販売するのがメインだったが、近年はロボティクス事業部で手掛けるロボットや表面実装機(マウンター)を組み合わせたソリューション提案にも注力する。
さまざまな搬送作業を対象とした一気通貫の自動化ソリューションを今回展の中核に据えたのも、こうした営業戦略の一環だと言える。有本営業統括部長は「足元の景況感は決して良い状況ではないが、ロボットの需要自体は今後も増えるだろう。だからこそ、今回展では搬送に特化したソリューションを最大限にアピールし、商機をつかみたい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也、構成・桑崎厚史)
※本特集は「月刊生産財マーケティング」とのコラボレーション企画であり、同誌12月号(11月27日発刊)でもこの記事をお読みいただけます。
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vol.3 技術は「使いやすさ」のために/ファナック 稲葉清典 専務
vol.4 今ロボットに何ができるか/安川電機 岡久学 ロボット事業部長
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vol.6 協働ロボットでも高速、高精度を/不二越 越野敦 部長
vol.7 トレンドは「ソリューション提案」/ロボットメーカー
vol.8 自慢のパッケージ製品を披露/マシンテンディング
vol.9 周辺機器は使いやすく、安全に/ロボット周辺機器
vol.10 多彩なソリューションを提案/併催ゾーン
vol.11 iREXインフォメーション