[特集 国際ロボット展vol.7] 自動化ラインで未来を/セイコーエプソン 内藤恵二郎 執行役員MS事業部長
テーマは「エプソンが変える、これからのものづくり。」
――iREXの見どころを教えてください。 「エプソンが変える、これからのものづくり。」と題して展示エリアを大きく2つに分けます。1つ目は、現場向けのソリューションで、今すぐ困りごとを解決するための提案を展示します。パートナー企業の製品と組み合わせ、フラットケーブルをロボットで差し込むデモなどをお見せします。 ――2つ目は何でしょうか。 「未来の工場」です。小型射出成形機で部品を作り、ロボットでその部品を組み立て、箱に収め梱包するまでの模擬的な自動化ラインをお見せします。わが社のインクジェットプリンターを使って、箱には社名印刷までできます。従来、こうした工程は別の企業、別の工場でやるのが当然でしたが、一続きの工程で自動化できる可能性を提示します。ロボットを中心に見せる訳ではないので、従来のiREXの展示っぽくはないかもしれませんね。ロボットを主役に据えるのではなく、“新しさ”を可視化し、工場の価値を向上させる提案をします。 ――小型射出成形機は自社製品ですね。 100%子会社のエプソンテックフオルムで開発・製造する卓上タイプの小型射出成形機は、自動化というより環境面を考慮した提案です。ランナーとよばれる、プラスチックの流路が固まった部分を小さくできるので、素材の無駄もなく、消費電力を大幅に削減できます。ワークサイズはピンポン玉ほど、サイクルタイムは約30秒なので、大量生産ではなく中量から少量向けです。わが社のプリンターの部品はそのくらいのサイズが多いので、すでにアジアの自社工場で稼働しています。社内の精密金型を作る部隊も、それを使って部品を成形する部隊も、この小型射出成形機にはかなりの可能性があるとみています。注目製品の一つです。
――その他、新製品群も展示される。 もちろん、主力であるスカラロボットの新製品もお見せします。簡単作業の自動化を視覚的に実現できるプログラム開発ソフトウエア「RC+Express Edition(エクスプレスエディション)」も展示します。前回展で参考出展した分光カメラや、ビルや橋で使われている振動センサーの工場活用提案もあります。とにかく「工場の困りごとを解決する」が基本的な方向性です。
――今後の事業展望をお願いします。 ロボット市場は、毎年10%は伸びると想定していますが、それ以上の伸びを目指します。また、国内外のサービス拠点も充実させます。課題はデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みですね。顧客とつながり迅速なサービスを提供できる体制を整えると同時に社内のDX化も推進する計画です。
(聞き手・ロボットダイジェスト編集長 八角 秀)
内藤 恵二郎(ないとう・けいじろう) 1990年東京農工大学工学部卒、セイコーエプソン入社。2013年ビジュアルプロダクツ(VP)事業戦略推進部長、17年執行役員VP事業部副事業部長、19年VP事業部長、20年ロボティクスソリューションズ事業部長、21年から現職。長野県出身。1967年生まれの54歳。
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