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2019.06.24
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[注目製品PickUp!vol.15]シンプルなシステムで導入しやすく【前編】/川崎重工業「duAro」

1年未満でスピード開発

人の間に入って作業ができる

 「デュアロ開発のきっかけになったのは、とあるお客さまに『今のラインアップではうちのラインに導入できるロボットがない』と言われたこと」と語る長谷川理事。それが2014年7月のことだ。ロボットのラインアップに自信を持っていたが、8月末に実際に顧客の工場を見に行くと、「確かに当時のロボットでは対応できなかった」と言う。

 顧客が求めたのは、現状の生産ラインを生かして人と人の間に設置することで、受け渡しを含む作業ができることだった。わずか2週間後の9月中旬、人と共存できる双腕ロボットというアイデアを出した。アイデアを認められただけでなく「早急に開発を進めてほしい」との言葉を受けて、猛スピードで開発を進めた。新製品としてデュアロが発表されたのは15年6月。

 1年足らずの短期間で開発できたのには理由があった。

既存技術を組み合わせ

電子基板の組み立てなど精密な作業ができる(川崎重工業提供)

デュアロのコンセプトである「導入しやすいロボット」の条件として、価格は重要な要素だ。「デュアロの構想時、一から新規開発するのではなく、実績のある既存の技術を活用するつもりだった」と長谷川理事。そうすることで、開発コストや開発期間を削減し、ひいては製品価格を抑えることができる。デュアロの原型になったのは、半導体製造装置用のスカラロボット。アームの基本構造を踏襲した。長谷川理事は「スカラロボットは垂直多関節ロボットに比べ動きに制限はあるものの、当初のニーズの8割はカバーできると判断した。完璧にニーズに応えようとすると構造が複雑になり、大型化してしまう」と話す。9月中旬に本格的に開発をスタートさせてから、早くも12月には試作機を完成させた。「導入しやすく使いやすいロボットにするため性能や機能面である程度割り切ったが、既存技術を活用したからこそ、この短期間でデュアロは生まれた。最初のアイデアがよかった」と長谷川理事は振り返る。――続く(ロボットダイジェスト編集部松川裕希)

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