• コラム
2025.11.03
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[エディターズノートvol.20]活発化するM&A

 10月にはロボットメーカーのM&A(買収・合併)のニュースが目立った。

 一番驚いたのが、ソフトバンクグループによるABBのロボティクス事業部門の買収だ(関連記事はこちらから)。スイスに本社を置くABBは、世界市場では日本のファナックや安川電機、ドイツのKUKAと並んで「世界4強」の一角に数えられる。

ABBのロゴマーク(写真は「2019国際ロボット展(iREX2019)」)

 ABBはこれまで積極的に買収する側で、産業用パソコンやリニア搬送システムを製造するオーストリアのB&Rや、自律移動型搬送ロボット(AMR)を製造するスペインのASTI Mobile Robotics(アスティ・モバイル・ロボティクス)、人工知能(AI)を使ったAMR向けナビゲーション技術に強みを持つスイスのベンチャー企業のSevensense(セブンセンス)などを買収してきた。

 ロボティクス部門を分社化することは4月にロボットダイジェストでも報じており(関連記事はこちらから)、またソフトバンクグループのロボット事業についてもこれまで記事にしてきたが、ソフトバンクグループがABBのロボティクス部門を買収するとは夢にも思っていなかった。

東京ロボティクスが「国際物流総合展2022」で提案したロボットシステム

 その他、安川電機による東京ロボティクス(東京都文京区、坂本義弘社長)の買収の記事も10月6日に掲載した(関連記事はこちらから)。東京ロボティックスは早稲田大学発のスタートアップで、ヒト型ロボット「Torobo(トロボ)」などを開発する。最近流行の二足歩行ではなく車輪移動式で、より実用的だ。

 また買収ではないが、ヤマハ発動機は10月14日、台湾の産業機器メーカーの東佑達自動化科技(TOYO AUTOMATION、以下TOYO)との合弁会社TY ROBOTICS(TYロボティクス、浜松市浜名区、三浦隆一社長)を設立したと発表した(関連記事はこちらから)。「狭義のM&A」は買収・合併を指すが、資本提携や合弁会社の設立も「広義のM&A」と言われることがある。
 これまでヤマハ発動機は単軸アクチュエーターなど一部製品でTOYOにOEM(相手先ブランド製造)供給を受けてきたが、今後数年間かけて単軸・直交ロボットの生産をこの合弁会社に移管する。

 M&Aが活発化するタイミングはいくつかあるが、その一つが「その業界の成長期」と言われる。業界が脚光を浴びたことで新規参入が増えて競争が激化すると、他社と差別化を図るため買収などが活発化する。ロボット業界は間違いなくこの局面にあるだろう。ロボット業界では今後も大小さまざまなM&Aが続きそうだ。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

※「エディターズノート」は毎月最初の営業日に掲載しています。

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