[注目製品PickUp! vol.71]国内の現場で、より魅力が輝く/オークラ輸送機「EasyPAL(イージーパル)」
マテリアルハンドリング(マテハン)大手のオークラ輸送機(兵庫県加古川市、大庫良一社長)は6月、パレタイズシステム「EasyPAL(イージーパル)」を発売した。デンマークのユニバーサルロボット(UR、日本支社=東京都港区、山根剛代表)の協働ロボット「UR20」を軸に周辺機器と教示作業につかう独自のソフトウエアなどを組み合わせた。小野山達夫常務は「発売後、想定以上の反響を得た。国内ならではの生産現場や物流現場で、特に魅力を発揮できる製品」と期待を込める。
※参考記事:パートナーシップを締結し、協働パレタイズシステム開発/オークラ輸送機、ユニバーサルロボット
1時間で300箱以上
オークラ輸送機はURとパートナーシップ契約を結んで、パレット(荷役台)に段ボール箱などの荷物を積み付けるパレタイジングシステム「イージーパル」を開発した。
URの20kg可搬の協働ロボットを中心に、ロボットの架台やロボットハンド、コンベヤーなどの周辺機器とそれらの制御機器、ソフトなどを一体にしてパッケージ製品として販売する。
UR20のリーチは1750mmあるため、国内の標準的なパレットであれば、おおむね対応する。飲料のケースなど軽量の箱であれば、1時間当たり300個~480個を処理できる。
同社はイージーパルを食品や飲料など生産設備が集まる展示会「FOOMA JAPAN(フーマジャパン)2024」の会場で初披露した。小野山常務は「主用途は15kg以下のケースのパレタイズ。それぐらいの重量のケースは食品や飲料業界で多いため、発表を同展示会に合わせた」と明かす。
9月10日から東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2024」でも、イージーパルを展示する。他のマテハン機器と組み合わせて、パレットの搬入からケースの荷下ろしと開梱、ケースに入った荷物の仕分けまでを一連で実演して、自動化や省力化を提案する予定だ。
パレタイズでも協働ロボ増加
同社は1994年から、パレタイズ専用の産業用ロボットを開発してきた。可搬質量が100kg以上で、重量物の高速な組み付けに向く。これまで、世界で8000台以上を納入してきた。
ただ、小野山常務は「高性能な産業用ロボットで重量物を素早く取り扱うという市場が飽和してきた」と焦りを感じていたという。
それと対極にあるのが、協働ロボットだ。可搬質量は低く、それほどスピードもないが、リスクアセスメント(リスクの分析や評価、対処)をすれば作業者の近くでも安全に使える。昨今はその安全面の利点に注目が集まっている。
小野山常務は「物流や包装業界でも、特に海外の展示会では、実演の多くに協働ロボットが採用されている」との印象を持っていた。