2025.11.20
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[特集2025国際ロボット展vol.4]狭所での自動化を推進/ダイヘン

電力機器・溶接機器大手でロボットメーカーでもあるダイヘンは、国際ロボット展(iREX)では狭所の製造現場や物流現場に向けた製品やソリューションを多数提案する。「限られたスペースで自動化システムを導入するために、省スペース性と操作しやすさが求められる」とFAロボット事業部の中川大輔事業部長は語る。同社が元々得意とする溶接だけでなく、多種多様なロボットシステムを取り扱う総合ロボットメーカーであることを会場で強くアピールする。

フットプリントを小さく

「限られたスペースの製造現場に向けた自動化システムを提案す る」と話すFAロボット事業部の中川大輔事業部長

 ダイヘンのiREX2025でのテーマは「限られた狭いスペースでも高度な自動化」。

 「大企業はすでにロボットの導入が進んでいる。一方、中小企業は十分なスペースを設けられないことや、操作方法に対して高いハードルを感じていることもあり、ロボットの導入がまだ十分に進んでいるとはいえない。今回展では限られたスペースでも効果的な自動化システムを展示し、自動化の裾野を広げるのが狙い」と中川事業部長は語る。

 前回展では「All Minimum(オールミニマム)」を掲げていたが、今回展では狭所の製造現場や物流現場に向けて、使いやすさをより前面に押し出した提案をする。

 今回展での展示の核となるのが500kg可搬の自律搬送ロボット(AMR)「AiTran(アイトラン)500」と、協働ロボット「FD-VCシリーズ」だ。

 アイトラン500は独自開発の「4輪駆動方式」で、方向転換せずに曲がり角を進行できたり、姿勢を変えずに前後左右斜めの全方位移動を可能にするなど狭い通路での走行に適する。 
 今年3月にモデルチェンジし、可搬質量が従来機より100kg増加しながらも、長さを200mm短縮した。「十分な通路幅を取れない製造現場は決して少なくない。AMRにはフットプリント(設備の専有面積)を小さくすることが特に求められる」と中川事業部長は言う。また、オプションで自動ワイヤレス充電機能を追加できる。工場内に這わせるケーブルを少なくし、走行時の障害物を減らせる。

ティーチング方法を拡充

今回展では新たなティーチングシステムも紹介する

 FD-VCシリーズは同社初の協働ロボットで、2023年に4kg可搬の「FD-VC4」を、翌年には動作範囲を広げたロングリーチタイプの「FD-VC4L」を発売した。これらの製品群はアーク溶接での使用を想定したものだ。
 今年4月には8kg可搬の「FD-VC8」を市場に投入し、ラインアップを拡充した。FD-VC8はアーク溶接に限らず、ハンドリングやピッキングなどさまざまな用途を想定して開発された。

 協働ロボットのラインアップを拡充する過程で、教示(ティーチング)方法も充実させた。
 タブレット端末による写真撮影だけで教示プログラムを自動生成する「教示レスシステム」を開発した。専用アプリから溶接対象物と、ロボットアーム先端の溶接トーチに貼付した拡張現実(AR)マーカーが入るように画像を撮影したら、溶接箇所の候補が抽出される。溶接したい箇所をタッチし、開始点や終了点などを選ぶだけでプログラムが作成される。あとはプログラムを転送するだけでロボットへのティーチングが完了する。

 教示レスシステムはあくまでも溶接が対象分野だったが、さまざまな用途での使用を想定した新たなティーチングシステムも開発した。タブレット端末にダウンロードされた専用アプリでロボットの動作内容が記されたブロックを組み合わせ、フローチャートを作るだけでティーチングが完了する。
 また、それに加えてダイレクトティーチングにも対応し、ロボットに関する専門知識がなくても直感的にティーチングをできるようにした。

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