塗装ロボットが熟練工の技をまねる、日本市場のさらなる開拓へ/ABB
業界初の塗装機で機器状態を把握
会場では自動車ボディーの内板と外板の塗装を実演。塗装機先端部に付着した塗料の洗浄機能をアピールし、さらに外部洗浄装置「ベルクリーナー」で塗装に影響するノズル穴の洗浄効果も披露した。
日本一面倒見がいい会社に
ABBの強みはロボットだけでなく、塗装機も製品ラインアップにあることだという。
「塗装用ロボットを開発する企業はいるが、塗装機もセットでできる企業は少ない。さらに塗装の工程まで詳しく話せて、求める機能を設備に反映しメンテナンスまでできる企業はうちだけではないか」と中島事業部長は自信を見せる。「もちろん塗装だけでなく、プレスや溶接の工程でも同じことが言える」とも付け加える。
現在は①設計のしやすさ、使いやすさなど追求する「シンプル」②人とロボットがスペースを共有でき、人の隣でロボットが働ける「コラボレーション」③さまざまな作業のデータを収集し、過去の蓄積したデータから作業を最適化する「デジタリゼーション」――の3つのキーワードをもとに、業務の改善ができるロボットシステムの開発に取り組む。「そんなことできない」と諦めていたことや、「こんなことをやってみたい」といった顧客の思いを実現できるシステムやサービスを提供するという。
そのためにも初期の検討段階から据え付け、ロボットシステムの立ち上げ、メンテナンス、持続的な改善まで、最初から最後まで関わる企業を目指す。「日本で一番の面倒見のいいロボットメーカーを意識して接したい」と中島事業部長は強調する。
送配電の事業売却でロボットへさらに注力
ABBのロボット事業部は世界中にある。その中でも日本はシステムの開発や製造、サポートの全てをそろえる数少ない拠点の一つだ。
充実した拠点機能やサービス体制、さまざまな作業に対応できる豊富なアプリケーション(使い方のノウハウ)を持つことで、外資系企業ではあるが国内メーカーにも引けを取らない顧客への対応を可能にする。
「日本市場はABBにとって重要な位置付けにある」と中島事業部長は説明する。ロボット導入の対象となる業界は増えつつあり、以前は自動車向けがほとんどだったが、14年からは食品、医療、化粧品の三品産業にも参入。昨年からは工作機械で加工する部品の運搬や荷役作業をするマテリアルハンドリング(マテハン)も手掛ける。
昨年12月にABBは世界中で展開する送配電事業を日立製作所に売却することを決め、代わりにロボット事業部に力を注ぐ方針を示した。「売却によってロボット事業の比重が高まり、その要の一つであるABB日本法人、そして日本市場の重要性も高まった」と中島事業部長。
国内に競合するロボットメーカーが多いが、同社が得意とする塗装分野で最新の製品やシステムを提案、さらには三品産業などの新しい分野にも注力することで、国内市場の開拓を図る。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集部 渡部隆寛)
同じ企業の記事
>>5Gをどう使う? ロボットをリアルタイムに遠隔制御/ABB
>>ソフトの機能を強化し、使いやすさを向上/ABB
>>上海に“ロボットがロボットを作る”新工場を建設/ABB
>>「3D品質検査ロボットセル」で検査速度が10倍に/ABB
>>[人事]暫定CEOにピーター・ボーザー会長が就任/ABB
>>上海VWのEV工場に塗装ロボットシステムを提供/ABB
>>AR技術でロボットシステムの検討が容易に/ABB
>>生産性を高める自動車車体の組み立てパッケージ/ABB
>>日本法人の社長が交代、ロボット事業責任者の中島氏が就任/ABB
>>車体に色・柄を直接インクジェット印刷/ABB
>>食品・医療分野への普及を加速、Codian買収/ABB
>>協働ロボットでATM向けソフトウエアの動作試験を自動化/ABB
>>[人事]新CEOに現サンドビックのローゼングレン氏/ABB
>>上海でロボット新工場の建設を開始/ABB
>>仮想空間での作業の検証が可能に/ABB
>>米国の医療センター内にロボット拠点を開設/ABB
>>VWの工場にロボット800台納入、新世代EVを製造/ABB
>>簡単プログラミング機能が既存の産ロボにも/ABB
>>ABBとETHが産学連携を強化/ABB
>>過酷な環境やクリーンルームに対応/ABB
>>ウェビナーで新型協働ロボット「ゴーファ」と「スイフティ」を紹介/ABB
>>静岡生まれの技術が国際的な賞を受賞/ABB
>>協働ロボに注力、新製品を国内初披露/ABB
>>ロボットセルで一時保管や順序制御などを自動化/ABB
>>スカラロボの新機種、高精度に電子機器を組み立て/ABB
>>6タイプの工作機械向けシステムを発売/ABB
>>持続可能な包装容器の製造を自動化/ABB
>>「OmniCoreコントローラ」にコンパクトタイプと多関節ロボ用タイプを追加/ABB
>>[ショールーム探訪vol.3]秘密じゃないけど秘密基地【前編】/ABB「アプリケーション・センター東日本」
>>[ショールーム探訪vol.3]秘密じゃないけど秘密基地【後編】/ABB「アプリケーション・センター東日本」
>>ロボットの位置調整を高速・高精度に/ABB
>>車体プリント技術でアートを表現/ABB
>>パラレルリンクロボットがレッド・ドット賞を受賞/ABB
>>AMRを統合し、ブランド名を刷新/ABB
>>リーチ370mm、1.5kg可搬の超小型ロボット発売/ABB
>>6万7000㎡のロボット工場を上海に開設/ABB
>>米国の工場拡張に2000万ドル投資/ABB
>>AIと3DビジョンでAMRを誘導する技術開発/ABB
>>スウェーデンにロボット生産拠点を新設、地産地消を強化/ABB
>>スカラロボの新機種、高い可搬重量と長いリーチが強み/ABB
>>AMR向けナビゲーション技術を開発する新興企業を買収/ABB
>>ラボの自動化推進を目指しメトラー・トレドと提携/ABB
>>独tesaと協業、シールによる車体の穴ふさぎを提案/ABB
>>[人事]新社長にペコンドン-ラクロワ氏、中島前社長はロボット塗装のグローバル責任者に/ABB
>>次世代のロボット制御プラットフォームを発表/ABB
>>日本発の塗装技術がインドのマヒンドラに採用/ABB
>>協働ロボットの軌跡精度を高める機能を開発/ABB
>>塗装工程のコストとCO₂排出量の削減を目指し、ESSと提携/ABB
>>ロボティクス部門を分社化し、ABBロボティクスに/ABB
>>フォーミュラEで省エネ性能などアピール/ABB
>>協働ロボットと併せてケーブル保護管をアピール/ABB
>>小型ロボット「IRB 1200」をリニューアル/ABB
>>ラボラトリーオートメーションで日本でも協業/ABB、メトラー・トレド