生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.05.20

柔軟な力制御で薄鋼板の製造工程の一部を自動化/モーションリブ

 慶応義塾大学発のベンチャー企業モーションリブ(川崎市幸区、溝口貴弘最高経営責任者)は5月20日、同大学のハプティクス研究センター、東洋鋼鈑(東京都品川区、田辺敏幸社長)と共同で、薄鋼板の製造工程の一部の自動化に成功したと発表した。

 今回自動化したのは、円筒形状のロールと呼ばれる部品の拭き取りだ。
 ロールは回転しながら薄鋼板とじかに接するため、表面に金属粉やほこりなどの異物が付着すると、薄鋼板の表面に凹みなどの欠陥が連続的に発生する。これを防ぐため、従来は人が手入れ材(砥石<といし>や研磨紙、布などを備えた器具)をロールに押し付けて、付着物を除去していた。

薄鋼板の製造工程

 この作業には危険が伴うため自動化のニーズはあったが、手入れ材の角度やロールの状態に応じて押し当てる強さを柔軟に調整する必要があり、自動化が難しかった。この力の調整を可能にした。

 まずは、慶応大学が発明した力触覚伝送技術「リアルハプティクス技術」を使い、人が遠隔で押し付け動作を実施。その際の力加減をデータ化することで、繊細な力加減の自動制御を実現した。このシステムは1年以上の連続運用実績があり、効果は人による作業と同等という。
 今後はさらにこの技術を発展させ、人の感覚に頼っている手作業を自動化・遠隔化して安全性・効率性を高められる製造技術として確立したい考えだ。

TOP