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2023.05.12
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[注目製品PickUp!vol.52]ハンドの小型化に貢献するモーター/OKIマイクロ技研「サムベリーナ」

シェア20~30%狙う

 世界でモーターが販売される数量は、年間100億個ほどとされる。そのうち80%以上が自動車や情報通信機器、AV機器など向けの大量生産の領域。残り10~20%が中量・少量の領域で、より付加価値が高い。この領域で需要を伸ばしているのが、ロボットをはじめ医療・介護、ドローンなどの産業機械の分野。この分野では、より小さく、より軽く、消費電力がより少なく、などのニーズが強いという。「中量・少量の領域で20~30%のシェアを狙う」(富澤社長)。  会見では、4つのデモンストレーションを披露した。  サムベリーナ、減速機、立体カムからなる「小型関節ユニット」は、指の関節に見立てた動きでペットボトル飲料6本(約3kg)を持ち上げた。同ユニットは、地元の福島大学発のベンチャー企業であるミューラボ(福島市、伏見雅英社長)と共同開発した。  同ユニットを関節ごとに塔載した「小型マニピュレーター」は、先端に3爪チャックを取り付け、自由度のある動きを披露した。

小型関節ユニットのデモ
小型マニピュレーター

 サムベリーナ、減速機、エンコーダーを、市販のグリッパーに実装した「強力グリッパー」は、最大把持力65kgとなり、固いエキスパンダーを握ることができた。  同じくスライダーに実装した「単軸ロボット」は、20kgの重りを搬送した。  いずれも小型・軽量、高トルク、低消費電力とのサムベリーナの特徴を存分に生かしたデモだ。

強力グリッパー
単軸ロボット
「潜在需要は大きいはず」と語る富澤将一社長

 「地元の福島では、原子力発電所の廃炉作業などで、ごく狭い場所に入り込む遠隔操作のロボットなども想定でき、そうしたニーズにも応えられるだろう。小さい物を動かすことの価値は大きいはず」と富澤社長は語る。  自身は工場長の経験もあり、現場では協働ロボットなどを使っていたという。「その経験からも、サムベリーナのニーズは明確にあると確信している。潜在需要は大きいはず」と力を込める。

(ロボットダイジェスト編集部 芳賀崇)

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