「まるでウニ!?」横浜で複数の展示会、産ロボの未来を垣間見た
新規参入や起業目前も
起業目前の技術の展示や、ロボット業界への新規参入に意気込む出展も多かった。 大手化学メーカーのDICは、高度な機械特性を持つ樹脂「エンジニアリングプラスチック」の1種、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂製の歯車を使った遊星歯車を展示した。 PPS樹脂は軽量で強度が高いだけでなく、耐熱性や耐薬品性にも優れる。ロボットハンドに使用すれば、軽くて丈夫かつ薬品にも強い製品を作れる。 担当者は「ロボット向けの提案を始めたばかりだが、強い関心を得ている。PPS樹脂の特性をアピールしたい」と意気込む。 九州工業大学と産業技術総合研究所(産総研)は球駆動式の「全方向移動ロボット」を参考出展した。3つの球体と3つのモーターを組み合わせた機構で、全方向に自由自在に移動できる。 全方向への移動ロボットには、ローラーの表面にスクリュー状の機構を斜めに複数付けた「メカナムホイール」が使われてきた。しかし、メカナムホイールは不整地や凹凸の走行に向かなかった。そこで球駆動式を開発した。複雑な制御を駆使しなくても、高い位置決め精度を誇る。 2023年の秋には、ロボットや制御システムなどの製造と販売を担うベンチャー企業を立ち上げる予定。産総研の主任研究員で、ベンチャー企業の社長も務める予定の石田秀一さんは「今までの全方向移動ロボットでは困難だった作業を実現できる。構造や制御システムもシンプルなので扱いが簡単」と利点をアピールする。
モノのインターネット(IoT)基盤などを提供するアプトポッド(東京都新宿区、坂元淳一社長)は、無人搬送車(AGV)や移動型のサービスロボットの管理や制御に向くデータ基盤向けソフト「intdash(イントダッシュ)コントロールセンター」などを提案した。 同ソフトは自動車やAGV向けに同社が提供するIoT基盤「intdash(イントダッシュ)」上で使える。AGVの位置情報や稼働状況などのデータを収集し、モニターに表示したマップ上にその動きを反映させたり、AGVの動きを遠隔制御できる。 会場ではエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(東京都千代田区、丸岡亨社長)と共同で、移動ロボットのデモを実施した。移動ロボットに同基盤との通信用の小型コンピューターを後付けして、カスタマイズのしやすさなどを訴求した。