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2023.04.21

連載

[注目製品PickUp! vol.50] 自慢の光学技術で生んだ薄く軽い力覚センサー/キヤノン「FH-300-20」

キヤノンは4月中旬、産業用ロボット向けの6軸力覚センサー「FH-300-20」を発売する。同社が30年以上培ってきた光学式エンコーダーを官能部に応用した。エンコーダーを複数使い、6軸の動きを把握する。担当者は「市販の力覚センサーでは初めての方式」と話す。この新たな方式で、軽くて薄い本体にも関わらず、高精度と即応性を実現した。

「後発だがニーズは必ずある」

 キヤノンが発売するFH-300-20は、産業用ロボットの本体とエンドエフェクターの間に取り付けるタイプで、同社が力覚センサーを手掛けるのは初めて。年間で数百台の販売を目指す。

 官能部には、同社が長年手掛けてきた光学エンコーダーを応用した。1軸の動きを測定するエンコーダーを複数配置して、縦、横、高さの方向に加え、その3方向を中心に回転する力の計6軸を同時に計測できる。

 力覚センサーをロボットに使うと、力の方向や強さを数値化できる。事前にプログラミングなどをすれば、ロボットが対象物(ワーク)などを取り扱う強さや向きを認識し、自律的に力加減を調整できる。
 ギアのはめ合いやコネクターの挿入、ワークに倣ってグラインダーを動かす研磨などの高度な作業の自動化に使われる。

「軽さと薄さは強み」と百海浩二専任主任

 キヤノンの新製品では光学エンコーダーをベースに従来にない構造を採用した結果、ひずみ式などの力覚センサーよりも20%程度軽くでき、厚みも抑えることに成功した。

 宇都宮事業所光学機器事業本部計測機器事業推進センターで同製品の製品企画を担当した百海浩二専任主任は「一般的な産業用ロボットだけでなく、可搬質量の限られた協働ロボットでも、高度な自動化を実現するニーズはある。力覚センサーとしては後発。しかし、特に協働ロボット向けには、軽さと薄さが大きなアピールポイントになる」と自信を見せる。

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