包装機械の横で“新たなピッキング”/JAPAN PACK2022
環境対応で新たなハンド
自動包装機の国内大手メーカー、大森機械工業(埼玉県越谷市、大森利夫社長)は、国連の掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を意識した「サスティナブル包装ライン」を展示した。 食品業界では「プラスチック以外の包装材の採用」や「廃棄食品の削減」に向け、包装に新素材を使ったり、食品の保存期間が伸びるような包装の仕方が盛んに開発されている。 展示では、焼き菓子をアルミニウム製の包装材で個包装し、それを5つ1セットにして、さらに紙で包装するラインを想定した。 2度の包装工程はそれぞれ専用機が担う。その間でパラレルリンクロボットが、等間隔に送られてきた個包装の対象物を5つにまとめる。
今回の展示ではロボットハンドを工夫した。1台に5つの吸着パッドを搭載。吸着パッド1つで1つの対象物を把持し、等間隔に送られる5つの対象物を一度に持ち上げる。次にハンドが移動する間に内部の機構部品で吸着パッドをスライドさせて間隔を狭める。最終的に対象物が隙間なく並んだ状態にして、次工程に送るコンベヤー上に置く。 そのハンドに同社では初めて、3次元(D)プリンターで作成した樹脂部品を多用した。金属部品で全体を構成するよりも、4割以上軽量にできた。 R&D推進室でロボットシステムを担当する山中幸弘チーフは「ハンドが軽くなれば、ロボットの可搬質量に占める割合を減らせる。それだけでなく、繰り返し作業の重量負荷を低減でき、消費電力やロボットの機構部品の消耗を抑えられる。まだまだ登場するはずの新たな包装材に対応するためにも、ロボットハンドの研究に一層注力する」と意気込む。