世界最大規模のオンライン展で見た、ロボットの最新提案/ハノーバーメッセ
最新の周辺機器やシステムも
ドイツの真空機器メーカーのシュマルツは、協働ロボット用の小型真空発生器(エジェクター)「RECB」を紹介した。最大吸引量が1分当たり59lと大きく、これまで搬送が難しかった通気性のある物やたわみやすい物を把持できる。 また、フィンガーグリッパー「OFG」も披露した。4本のフィンガーで、軟らかく不定形な食品を搬送できる。食品衛生に配慮したハイジェニック仕様と、標準仕様の2種類を用意する。 油圧機器や制御機器を製造、販売するドイツのボッシュ・レックスロスは、コンテナ内に乱雑に積まれた物を取り出す「ばら積みピッキング」をAI技術で効率化するシステム「スマート・アイテム・ピッキング」を展示した。1時間当たり600アイテムをピッキングできる生産性の高さと、99%を誇る成功率の高さが特徴だ。
「空飛ぶじゅうたん」に新機能
ドイツの制御機器メーカー、ベッコフオートメーションは、産業用パソコンやサーボモーター、リアルタイム制御ソフトなどの多種多様な自社製品を一堂に展示した。 中でも、注目を集めたのはガイドレス搬送システム「XPlanar(エクスプラナー)」。 コイルが敷き詰められたタイルと、永久磁石が内蔵された可動子(ムーバー)で構成されたシステムで、コイルが生み出す磁力を受けてムーバーが浮上し、「空飛ぶじゅうたん」のようにタイル上を自由に動き回る。 同社は今回展で、360度の回転機能を新たに追加したと発表した。これまでは特定の角度までしか回転できなかったが、4枚のタイルの交点にムーバーを移動することで360度の回転ができるようソフトをアップデートした。食品や医薬品業界などに提案する考えだ。 また、制御ソフトの分野では「TwinCAT Scope(ツインキャット・スコープ)」と「TwinCAT Vision(ツインキャット・ビジョン)」の機能を統合した最新のソリューションを発表した。 ツインキャット・スコープはロボットなどの設備に搭載されたモーターの位置や速度、加速度、電流値のデータを監視でき、ツインキャット・ビジョンは外部カメラから取得した画像データをリアルタイムで処理できる。 日本法人(横浜市中区)の川野俊充社長は「ロボットの動作に不具合があった時でも、その時の電流値などのデータと映像を突き合せれば原因を突き止めやすい。ロボットシステムを構築するシステムインテグレーターには特にメリットが大きい」と話す。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)