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2019.05.30

バリ取りはロボットにお任せ! 内覧会で見た注目の一品/クロイツ

加工した部品の縁などにできてしまう小さな突起物「バリ」。そのバリを取るための専用工具やバリ取り用の設備などを製造、販売するクロイツ(愛知県刈谷市、坪根巌社長)は、2019年に創業30周年を迎えた。19年5月14日~16日には、刈谷市内の本社工場と場割工場の2カ所で創業30周年を記念した内覧会を開き、同社が30年にわたり培ってきたバリ取りの技術や製品を余すところなく披露した。3日間で300人以上が来場。注目を集めたのは、バリを取ることに特化したロボットだった。

10年ぶりの開催

会場では複数のバリ取りロボットを展示

 クロイツは、バリを削り落とすための専用工具やバリ取りの専用設備、バリ取りロボットなど、バリ取りに関するさまざまな製品を製造、販売する。
 バリとは、金属や樹脂部品を加工した時に切り口などに生じる小さな突起物のこと。バリが残ったままだと部品同士を精密に組み立てることができず、最終完成品の品質にも悪影響を与えるため、部品加工にはバリ取りの工程が欠かせない。

 同社は1989年の創業以来、さまざまなバリ取り用の製品を開発しており、今年で創業30周年を迎えた。
 それを記念し、5月14日~16日には愛知県刈谷市の刈谷工場と場割工場の2カ所で内覧会を開いた。技術部開発グループの戸川正宣部長は「内覧会を開催したのは10年ぶり」と説明する。3日間でのべ300人以上が来場した。

強みは対応力

本社工場ではバリ取り用工具を展示

 同社の特徴は、バリ取り用の工具から専用設備まで自社で製造できること。顧客のニーズに合わせ、バリ取り工具や専用設備を特注で設計し、製作する。顧客の要望への対応力の高さが最大の強みだ。
 戸川部長は「単に製品を売るのではなく『どうやったらバリが取れるか』を徹底的に追求する」と強調する。

 今回の内覧会でも2つの工場を使い、自社の対応力の高さを来場者にアピールした。本社工場ではバリ取り用工具を、場割工場では専用設備やバリ取りロボットをそれぞれ展示した。

剛性を高めながらもコンパクトに

注目を集めたバリ取りロボット「RBR-D5W」

 中でも注目を集めたのは、場割工場で披露したバリ取りロボット「RBR-D5W」。バリ取りに特化したロボットで、安川電機のコントローラーを搭載する。自動車部品メーカーなどを主なターゲットに見込む。

 バリは従来、人が手作業で取ることが多かった。しかし、近年の人手不足の深刻さを背景に、製造業などを中心にバリ取りを自動化するニーズが拡大している。RBR-D5Wはこうしたニーズに対応するロボットだ。

 ロボットの軸構成は3軸から5軸まで、用途に応じて自由に選定できる。部品を搭載する台(テーブル)に回転軸や傾斜軸を加えることも可能だ。
 また、バリを取り除くときにアームにかかる負荷にロボットが耐えられるよう、剛性(物体の変形のしにくさ)も高い。ロボットの場合、一般的に剛性を高めれば高めるほど大型化する傾向があるが、RBR-D5Wは高さを1.5m以下に抑えるなどコンパクトさにもこだわった。「顧客からは『小さくていいね』との反響があった」と担当者は語る。

 会場では、5軸タイプや4軸タイプなど、複数のRBR-D5Wを展示した。ロボットを実際に動かすと、その動きに多くの来場者が関心を示した。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)


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