2026.10.09
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遠隔溶接ロボットで技能レスと自動化を推進/宝角合金製作所

金属加工を手掛ける宝角合金製作所(兵庫県姫路市、宝角勝利社長)は、今年7月に高丸工業(兵庫県西宮市、高丸正社長)が開発した遠隔溶接ロボットシステム「WELDEMOTO(ウェルデモート)」を導入し、溶接工程の内製化を推進している。宝角社長は「当面は工場内で操作するが、将来的には工場外からの遠隔操作にも挑戦したい」と話す。高丸工業にとっては顧客への納入事例第一号となり、今後の拡販に弾みをつけたいという。

(松川裕希:ロボットダイジェスト編集部)

人手に左右されない内製化

ロボットと溶接に必要な機器がコンパクトにまとめられている

 宝角合金製作所は、高丸工業が開発した遠隔操作の溶接ロボットシステム「ウェルデモート」を導入した。今年7月に導入し、ロボットの隣に設置したパソコンから操作する形で運用を開始。今後の活用度次第で溶接ロボットの増設や、産業用ロボットや搬送ロボットなどの導入も視野に入れる。

 

 宝角合金製作所は銅合金などの鋳造を祖業とし、現在はアルミや銅合金の鋳造品のほか製缶品などに切削加工や溶接を加え、付加価値を高めた製品を提供する。もともと溶接の外注先の廃業を機に一部を内製化したが、担当者の退職などで再び外注への依存度が高まっており、内製化が求められていた。鉄道関連を中心に溶接品の受注が増えていることもあり、社内外の事情に影響されない設備としてウェルデモートを導入した。
 高丸工業は溶接対象物(ワーク)を絞り込み、標準仕様を生かしたシンプルなシステムを提案。宝角合金製作所は切削加工技術を生かしてジグ(補助具)を製作し、両者で立ち上げを進めた。

「溶接ロボットオペレーター」ですぐ採用

遠隔操作のため、溶接時の光や熱にさらされず無理な姿勢を強いられることもない

 同社では溶接後に切削加工で仕上げをする製品が多い。溶接部にピンホールなどがあれば切削後に手直しが必要になるため、安定した溶接品質が欠かせない。「常に溶接工を確保、育成しなければならず、人の技能に頼る溶接は、属人化の最たる作業だ。多品種少量生産を持続性のある事業として継続するには、ロボット化が必要と判断した」と宝角社長は語る。
 定期的に受注するロット品は、加工条件を登録することでオペレーターがウェルデモートの前から離れられる時間も出てくる。現在はロボットの隣に操作用のパソコン一式を設置しているが、将来的には工場外からの本格的な遠隔操作も視野に入れる。

 

 ウェルデモートで溶接するワークは、鉄道関連の小物製品から本格稼働させ、将来は長さ1m未満で10種類程度のワークの溶接に対応させる。外注先への搬送時間を減らし、内製化で利益率の向上を図り、溶接から切削まで一貫対応する強みを新たな受注にもつなげる考えだ。「溶接の仕事が増えてきたら、増設も考えたい」と宝角社長。まずは今回導入した設備を着実に使いこなす。

 

 同社では導入前からウェルデモートの担当者となる人材を募集。機械加工の経験が豊富で、溶接やロボット操作に意欲のある人材を採用した。導入後わずか数日で予定していたワークに加えて別形状のワークを溶接するなど、習熟は早かった。「『溶接工』や『溶接オペレーター』ではなく『溶接ロボットオペレーター』として募集したことで、すぐに採用することができた。ロボットへの関心の高さを実感した」と宝角社長は話す。

後継ぎ同士が連携

ゆくゆくは工場外からの遠隔操作も視野に入れるという

 ウェルデモートを開発、販売する高丸工業と、その導入を推進し準備をした宝角合金製作所。一連の動きを主導したのが、高丸工業の高丸泰幸専務と宝角合金製作所の宝角拓哉取締役。いずれも両社の社長の子で、後継ぎ候補として経営や事業を学んでいるところだ。「将来的に経営を引き継ぐにしても、父親である今の社長との経験の差は、簡単には埋まらない。何か新しいことに取り組まなければ、と考える後継ぎは多い。互いに後継ぎだからこそ、導入に向けてコミュニケーションや連携は取りやすかった」と高丸専務は振り返る。

 

 高丸工業にとりウェルデモートの顧客への納入は今回が初めて。高丸専務は「今回の納入を実績として、さらなる販売につなげたい。今後は協働ロボットをベースにしたウェルデモートの開発も進める」と意気込みを語る。

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