[2023国際ロボット展リポートvol. 14]各社各様でロボットメーカーの個性光る【前編】/川崎重工業、ダイヘン、エプソン
軌跡精度が高く多様な溶接法で使える/ダイヘン
ダイヘンは、ブース内に12点の製品・ソリューションを展示した。
その中でも目玉は、今年10月に発売したばかりのアーク溶接用協働ロボット「FD-VC4」だ。ロボットアームの軌跡精度が高く、安定した溶接を実現する。
アーク溶接の一種のTIG(ティグ)溶接のような高周波が発生する溶接法における耐ノイズ性能や、「スパッタ」と呼ばれる溶接部周囲への金属粒の付着に耐えられる耐環境性を持ち、多様な溶接法で使うことができる。
FD-VC4の他に、開発中の協働ロボット「FD-VC12」を使ったハンドリングシステムのデモも展示。柳川剛三企画課長は「来年度はアーク溶接用協働ロボットのロングタイプなど、協働ロボットのラインアップをさらに拡充していきたい」と語る。
協働ロボットの他に、ロボットのエンドエフェクターに付いたカメラでワークを撮影することで溶接位置を検出する「ティーチングレスシステム」や、自律搬送ロボット「AiTran(アイトラン)」とロボットを組み合わせた工場の完全自動化を提案するデモなどを展示し、ブース内は多くの来場者でにぎわった。
高い生産性と人との協働を両立/セイコーエプソン、エプソン販売
セイコーエプソンとエプソン販売(東京都新宿区、鈴村文徳社長)は今回、独自の力覚センサーや分光ビジョンシステムを活用した「難作業の自動化」をメインテーマに掲げたが、その他にスペースが限られる中での生産性の向上も提案した。
スカラロボットの上位モデル「GXシリーズ」は安全規格「ISO10218-1」に適合する。協働ロボットではないが、オプションの安全機能を使った上で適切なリスクアセスメント(リスクの確認や対処)を実施すれば、全面を安全柵などで覆わなくても稼働させられる。
デモシステムでは、ロボットを囲むパネルの前面が空いており、ロボットを稼働させたままワークを載せたトレーの交換ができる。普段は素早く動いているが、ロボットシステムの前に人が立つと、自動で動作速度を安全なレベルまで落として作業を続ける。また、人が手を入れる部分にはロボットアームが行かない動作制限領域を設けるなどして、安全性を確保した。
「人とのスペースの共有や人との協働と言うといわゆる『協働ロボット』をイメージしがちだが、こうしたシステムなら、高い生産性を確保した上で、それらを実現できる。こうしたシステムを可能にする安全機能を、今後は他機種にも展開していきたい」とセイコーエプソンマニュファクチャリングソリューションズ事業部長の内藤恵二郎執行役員は話す。
(曽根勇也、斉藤拓哉)


 
                             
             
            

 
         
         
         
         
                     
             
             
         
         
         
         
         
                     
                     
                     
                     
     
     
    