
[気鋭のロボット研究者vol.26] 見ず触れず検知するロボットハンド【前編】/大阪大学 小山佳祐助教
大阪大学の小山佳祐助教は、ワーク(搬送物)との距離や角度を非接触で検知する近接覚センサーを研究する。透明や光沢のあるワークでも検知できるのが特徴。ロボットハンドに搭載することで、カメラを使わず手探りでワークをつかむこともでき、従来よりもシンプルで柔軟なバラ積みピッキングシステムを実現する。
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大阪大学の小山佳祐助教は、ワーク(搬送物)との距離や角度を非接触で検知する近接覚センサーを研究する。透明や光沢のあるワークでも検知できるのが特徴。ロボットハンドに搭載することで、カメラを使わず手探りでワークをつかむこともでき、従来よりもシンプルで柔軟なバラ積みピッキングシステムを実現する。
藤本康孝教授などが開発した「バイラテラル・ドライブ・ギヤ」は、前編で紹介した協働ロボット向けの用途だけでなく、さまざまな応用の可能性を秘める。藤本教授は「自律して行動を決める知能ロボットの研究に貢献し、環境にやさしいロボットの開発もできる」と期待を込める。
藤本康孝教授は、高い減速比を持ちながら小型で高効率な減速機を開発した。産業用ロボットでの使用に向く減速機では難しい逆駆動を実現。「世界初の技術」と藤本教授は話す。開発には業界の常識を打ち破る発想が欠かせなかった。従来は低効率と考えられた歯車機構を徹底的に見直して、画期的な減速機を生み出した。
センサーや電気回路を真空パックすれば、水中ロボットが作れるのではないか――。例えばそんな思いつきも、近畿大学の柴田瑞穂准教授の手にかかれば本格的な研究となる。ロボットに関して「やればできそうだが、まだ誰も本格的に実験したことのない手法」を、まじめに評価、検討するのが、柴田准教授のスタンス。元は思いつきでも、検証してみれば期待以上の可能性を見いだすこともある。
近畿大学の柴田瑞穂准教授は、ロボットに関して「やればできそうだが、まだ誰も本格的に実験したことのない手法」を、まじめに評価、検討する。ロボットの外装を樹脂に置き換えるとどうなるのか。センサーや電気回路を真空パックするとどうなるのか。「思いついたことをやってみるのは、研究のフィールドではとても重要」と話す。
南山大学の中島明教授は、人のような器用さや巧みさを備えたロボットの実用化を目指し、多指ハンドや卓球ロボットの研究に力を注ぐ。後編では卓球ロボットについて取り上げる。人と何回もラリーを続けられる卓球ロボットを開発するため、中島教授は画像センシング技術やロボットの制御技術の研究に努める。
多指ハンドロボットと卓球ロボットの2つを主な研究テーマに掲げる南山大学の中島明教授。前編では、大学院の頃から研究に取り組む多指ハンドについて紹介する。ロボットに器用さや巧みさを与えるため、摩擦係数や形状、軟らかさなどが事前に分からない「未知の物体」も安定してつかめる多指ハンドの開発に挑む。
力制御の技術を応用したバリ取りロボットシステムの研究に取り組む岐阜大学の伊藤和晃准教授。バリ取りの次に目指すのは、熟練作業者の穴開け作業の自動化だ。アルミニウムの外板に高精度なリベット穴を加工するロボットシステムの実用化に向け、現在はロボットアームの先端に取り付ける「エンドエフェクター」の開発に力を注ぐ。
岐阜大学の伊藤和晃准教授は、ロボットや位置決め装置などの動きを制御する「モーションコントロール」の研究に取り組む。「熟練作業者の匠の技をロボットで再現したい」と意気込む。その一環で、これまで人手作業に依存していたバリ取りの自動化を目指し、力制御の技術を生かしたバリ取りロボットシステムを開発した。
田崎良佑准教授は、ガントリーローダーの制振にも取り組む。もともと、学部生時代には建築物の制振技術やそのシミュレーションに熱中。その後、修士課程から実際に物体を動かして研究する楽しさと大切さに気付き、本格的にロボットや自動化装置の研究を始めた。そんな田崎准教授の経験が生きるのが、この研究だ。