[気鋭のロボット研究者vol.25] 減速機が変わると、ロボットも変わる【後編】/横浜国立大学 藤本康孝教授
試験ロボットを組み立て中
藤本康孝教授が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などと共同開発した「バイラテラル・ドライブ・ギヤ」の応用範囲は広い。
現在、組み立て中なのが、同ギアを使った垂直多関節型の試験ロボットだ。完成すれば、ロボットのモーションコントロール理論を実証しやすくなると見込む。
垂直多関節ロボットでは、減速機での動作エネルギーの損失が大きく、損失の数値が安定しない。そこでモーションコントロールの研究では、減速機の影響を加味せずに理論を組み立てる例が多い。一方、実機を使う実証実験が難しい。
それを乗り越えるために全軸にダイレクトドライブ(DD)モーターを組み込んだロボットが生み出されるほどだ。
減速機から知能ロボを
藤本康孝(ふじもと・やすたか)
1998年横浜国立大学工学研究科電子情報工学専攻博士課程修了。同年慶応義塾大学理工学部嘱託助手。99年横浜国立大学工学部助手、2000年同講師、02年同大学大学院工学研究院知的構造の創生部門助教授、07年同准教授、13年から同教授(現職)。海外のサイエンスフィクション(SF)作品を中心に映画鑑賞が趣味。特に科学的根拠に基づく作品「ハードSF」を好む。神奈川県出身の51歳。