2025.07.09
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小回りの良さはそのままに可搬質量3倍のAMR発表/シナノケンシ

 シナノケンシは6月24日、自律搬送型ロボット(AMR)の新製品「Aspina(アスピナ)AMR300」を発表した。可搬質量は300kgで、販売開始は今年10月を予定する。

 同社は2024年に可搬質量100kgの「AspinaAMR100」を発売した。レーザー測定技術「LiDAR(ライダー)」の2D版を使って本体の周辺地図を描く簡易的なSLAM方式とし、制御ソフトウエアも直感的に使えるなど、AMRの初心者でも簡単に使える点を特徴とする。また、狭い通路も通れる小型さや、国内メーカー製ならではのサポート体制などがユーザーから高く評価されてきた。
 100kg可搬タイプを発売したことで「より重い物を運ぶなど幅広く使いたい」や「より生産性を上げたい」「より安全に使いたい」などのニーズが分かり、今回の新製品を開発した。

 AspinaAMR300の横幅は従来品と同じ600mmに抑えた。奥行きは200mm伸びて800mmとなったが、小回りが利く特徴を残したまま、可搬質量を3倍にした。アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を改善し、産業用ロボットなど他の自動化機器やエレベーターなどの連携も取りやすくしたことで、活用の幅が広がるという。

 また、進行方向を変える際にその場で回転するだけでなく、自動車のような曲線走行もできるようにし、平均の移動スピードを向上させた。
 さらに、LiDARを従来の2Dから3Dにして周囲を立体的に認知できるようにし、人や物の接近を検知しやすくした。それでデータ処理量は増えたにも関わらず、制御用ソフトを改良し、ルート生成などの速度を大幅に高めた。
 従来品のAspinaAMR100も10月以降に順次、サービス社員が訪問してソフトの更新を実施する予定。

RSビジネスユニットの宮澤史訓ビジネスユニット長

 AMRなどロボット関連の事業を担うRSビジネスユニットの宮澤史訓ビジネスユニット長は「従来は電子機器や精密部品の搬送が中心だったが、新製品では複数の金属部品を組み立てたユニットや金型も運べる。自動車業界にも積極的に提案したい。26年度までにAspinaAMRシリーズ全体で年間250台、RSビジネスユニットで年間売上高20億円を目指す」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)

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