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2022.12.27

イベント

「まるでウニ!?」横浜で複数の展示会、産ロボの未来を垣間見た

12月上旬にロボットや光学機器に関連する複数の展示会が、横浜市西区にあるパシフィコ横浜で開催された。従来まで出展が多かった配送向けなどのサービスロボットだけでなく、将来の産業用ロボットを支えるような要素技術や光学技術が一同に会した。

なんと、兄弟でロボット研究者

自由度の高い山形大学の多田隈理一郎准教授の「球状歯車」

 産業用ロボットや光学機器に関連する2つの展示会が、パシフィコ横浜で開催された。1つは12月7日と8日に開かれた「横浜ロボットワールド」だ。前回まではサービスロボットの展示が目立つイベントだったが、今回は大学の研究室や企業内の研究グループの出展も多かった。

 その1つが、山形大学の多田隈理一郎准教授の研究室だ。2021年にインターネットなどでも話題になった「球状歯車」を出展した。従来は樹脂製の物だけだったが、今回はアルミニウム製の歯車も初披露した。
 球体の表面にある無数の凹凸が歯車の歯となる。回転3自由度を持ち、1つの出力で全方向に回転できる。これに、球状歯車を受ける特殊形状の歯車とモーターを組み合わせて、アクチュエーターとして機能させる。

 ドローンに搭載したカメラの撮影方向の位置決めなど、具体的な用途も出てきている。「中空にして必要な時だけ出てくる簡単なアーム式アクチュエーターを内蔵すれば、内視鏡の先端をもっと小型にできる。中空ならば中に液体を入れて撹拌(かくはん)する用途もありえる。可能性はまだまだ未知数」と、多田隈准教授は話す。
 そんな中で、樹脂製では強度面に不安があるとの意見もあり、今回は初めてアルミ製の球状歯車も展示した。複雑形状を加工できる工作機械の5軸マシニングセンタを使い切削加工した。球状歯車だけではなく、それを受ける特殊形状の歯車もアルミで製作した。

東北大学大学院の多田隈建二郎准教授のすくい上げエンドエフェクター

 また、多田隈准教授は兄弟そろってロボット研究者として有名。実弟の東北大学大学院の多田隈建二郎准教授も出展した。不定形物や軟体な対象物(ワーク)でも、下からすくうように持ち上げるエンドエフェクターなどを展示した。

 まず、ワークの下に金属製の板を差し込む隙間を作る。その隙間に板を差し込み、先端まで強度を出すために板をアーチ状に曲げて持ち上げる。
 担当者は「不定形なワークも下に接地さえしていれば持ち上げられる。小型化すれば、細胞なども扱える。生物系の研究所などでも使用を見込める」と話す。

やさしくイチゴを扱うハンド

パナソニックはイチゴをつまみ上げるように扱うハンドを展示

 パナソニックホールディングスの技術部門は、力覚センサーを内蔵したロボットハンドを展示した。熟したイチゴのハンドリングをイメージしたデモを見せた。
 指先に無限軌道(キャタピラー)のような仕組みを搭載したグリッパータイプのロボットハンドを開発し、その挟み込む部分に力覚センサーを埋め込んだ。

 ワークと接する強さを認識しながら挟み込む。事前の設定値に合うように把持力を調整することで、熟したイチゴを潰さずに挟んで持ち上げられる。展示では樹脂サンプルのイチゴだったが、研究所では生のイチゴを扱った実績もある。
 「ロボットハンドの指先を小さくするのは難しく、細かい作業をしにくい。ただ、無限軌道のような仕組みで、人間のつまみ上げるような動作も再現できた」(担当者)。

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