[気鋭のロボット研究者vol.21]実用に重要な「臨機応変さ」【後編】/青山学院大学 田崎良佑准教授
経験生かすローダーの制振技術
田崎准教授は、修士課程からロボットや工場自動化(FA)関連の研究を本格的に始めた。それまでは、シミュレーション上でビルの揺れを制御する研究などをしており、進路の選択を大きく変えた。
双方の知識を生かしたのが、工場の天井付近や工作機械の上部などに取り付けるガントリーローダーの研究だ。
ローダーを急に加減速させると、揺れが生じる。そのため、一般的なローダーの支柱などの主要部には剛性が必要となり、太い。他方、制振システムでローダーの振れを生じさせずに済むと、構造物自体を簡素にでき、設置スペースを省ける。
そこで、臨機応変なロボットシステムの研究にも注力しており、人を指圧マッサージするロボットシステムの開発を進める。
ロボットハンドなどに新開発の各種センサーを搭載して認識することで、指圧されると痛い骨や腱(けん)の周りを避け、凝った筋肉をほぐす。
「個々人の多種多様な身体状態に対して、3次元の画像センサーで得た外観形状情報とロボットハンドによる触診情報から、凝った筋肉の部位を認識して適切に施術する。求められる対応力は非常に高く、成功すれば触覚を中心に応用研究の対象も広いはず」と、将来を見据える。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
田崎良佑(たさき・りょうすけ)
2004年小山工業高等専門学校機械工学科卒。06年京都工芸繊維大学工芸学部機械システム工学科卒。08年豊橋技術科学大学大学院生産システム工学専攻修士課程修了、11年同電子・情報工学専攻博士課程修了後、研究員を経て12年同大学機械工学系助教。19年から青山学院大学理工学部機械創造工学科准教授(現職)。日本鋳造工学会で各種幹事などを歴任。豊橋技術科学大学在籍時に鋳造の奥深さに魅了され、その加工技術の追究をライフワークに掲げる。1983年栃木県生まれの38歳。
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※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2021年11月号にも掲載。