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2020.01.17

インタビュー

実績を重ね、普及拡大のフェーズに入った【前編】/MUJIN滝野一征CEO

MUJIN(ムジン、東京都江東区、滝野一征最高経営責任者<CEO>)は、ロボット業界で最も注目されるベンチャー企業の一つ。人工知能(AI)技術の一種である「モーションプランニングAI」を実用化し、世界で初めて汎用のロボットコントローラーに搭載した。最近はコントローラーなどの機器を単体で販売するだけでなく、ロボット本体やその他周辺機器まで含めたシステムとしての提供にも力を入れ、「ソリューション(課題解決)をトータルで提供できる」と滝野CEOは語る。

独自のAI技術をロボットに

モーションプランニングAIを搭載する「MUJINコントローラ」(MUJIN提供)

――まずは、MUJINが手掛ける事業の概要を教えてください。
 「モーションプランニングAI」という技術を使ってロボットを知能化し、使いやすくしています。このAIを組み込んだ汎用のロボットコントローラーを単体で販売するだけでなく、現場に合わせてロボットや各種周辺機器を組み合わせたシステムとしても提供しています。物流と、金属部品などの加工工場が主なターゲットです。
 ロボットの研究で有名な米国カーネギーメロン大学でモーションプランニングAIを研究していたのが、共同創業者で最高技術責任者(CTO)の出杏光魯仙(デアンコウ・ロセン)です。この最先端技術を産業界に生かしたいと、2011年に2人でMUJINを創業しました。

高度なことが簡単に

容器の中にばら積みされた金属部品をつかめる

――モーションプランニングとはどのような技術ですか?
 通常、ロボットを使うには、経路を記憶させるティーチング(教示)作業により動作プログラムを作ります。決まった場所にある決まった形状の物を扱うにはティーチングでもよいのですが、例えば容器の中にばら積みされた部品をロボットでつかみ上げるには、部品の位置と姿勢に応じて無数にある取り方全てをいちいち設定する必要があり、ティーチング工程だけに何カ月もかかります。

複数種類の箱をバランスよく積み上げる物流向けロボットシステム

 また物流倉庫などで「パレタイズ・デパレタイズ」と呼ばれる、箱の積み付けや荷下ろしをする場合も、決まったサイズの箱を積み下ろすだけでも難しい作業ですが、物流センターではさらに寸法が異なるさまざまな箱に対応しなければなりません。こうした課題を解決するのがモーションプランニングAIです。
 動作の始点と終点だけ指定すれば、最適な動作経路を自動的に作成してくれます。独自の3次元ビジョンセンサーにより、加工前後の金属部品ならばら積み部品の位置や姿勢を読み取り、最適な角度から取りにいきます。物流では箱のタイプやサイズなどを認識し、位置を合わせて真空ハンドで持ち上げて搬送します。複数種類の部品や箱の混載に対応するシステムも構築できます。
 ロボット周辺の壁や、物流用のカゴ車の側面、部品を入れた容器の壁面なども考慮して経路を作るため、ロボットがそれらにぶつかる心配もありません。

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