[注目製品PickUp!vol.56]独自構造のルーツは自動車部品にあり/NTN「i-WRIST」
眠っていた技術で誕生
アイリストシリーズのルーツは等速ジョイントだ。等速ジョイントとは回転運動の伝達に使う部品で、入力軸と出力軸の間に角度が付いていても双方の軸が等しい速度で回転するのが特徴。自動車のエンジンやモーターのトルクをタイヤに伝える重要な役割を担う。同社は約20年前に軸間の角度を90度にしても使える等速ジョイントを開発したが、製品化には至らなかった。
ロボット関連の新製品の開発を検討していた時に、この眠っていた技術が応用できると気付いたことから、2010年にアイリストの原型が生まれた。磯部主査は「当時、展示会で展示した時に興味を持つ来場者は多かったが、用途の想像がつかないとの声も多かった」と振り返る。
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「アイリスト」の試作品。動作の原理が分かりやすい構造になっている
パッケージ化で導入ハードルを抑える
今年3月にアイリストとティーチペンダント、アクチュエーター、架台をセットにした「アイリスト スターターパッケージ」を発売した。磯部主査は「顧客から『展示会で展示していたシステムをそのまま欲しい』との要望が多く、パッケージとして販売することにした」という。稼働に必要な部材が一通りそろえられることに加えて、設置面積を1㎡に抑えたことで、導入へのハードルをできる限り低くした。
今後は液剤塗布や外観検査以外の用途の提案に力を入れる。アイリストの先端に洗浄ノズルを着けて洗浄作業にも使える他、アイリスト2台を双腕ロボットのように配置することで、組み立て作業への活用も検討する。「さまざまな環境に耐えられるよう改良を重ね、いずれは三品業界(食品・化粧品・医薬品業界)での導入件数を増やしていきたい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)