[ロボットが活躍する現場 vol.63]医薬品の包装を人手からヒューマノイドに/武州製薬
人手作業を減らす
1台目の導入は昨年3月ごろ。きっかけについて上野部長は「製造業務で人手がひっ迫し、新薬の実験などになかなか手が回らないのが課題だった」と振り返る。医薬品の量産を始める前には通常、設備や工程、品質管理の方法などを検証する「バリデーション」を実施するが、既存の製造工程で人手作業を要し、バリデーションに人手を確保しづらい状況だったという。
同社では年間の生産量が数億錠にも上る大ロット品から、中、小ロットの医薬品まで幅広く受注しており、生産品目のうち小ロット品が半分以上を占める。生産量が多い場合は専用機を導入して生産ラインを組むが、小ロット品では難しく、手作業に頼らざるを得ない。「加えて生産品目の入れ替わりが月に1件~2件ほどあり、設備の手配が間に合わないなどの場合に、人手で作業するケースもある」とDX戦略部DX戦略グループの伊東潤さんは説明する。
このようにして発生する人手作業を減らせるよう、2024年からロボット化を検討し始めた。その際に条件として考えたのが、人手作業からそのまま置き換えられることや、対象物の位置ずれに対応できることなど。これらの条件に合致するのが、両腕を備え、カメラで対象物を認識して動作を補正できるヒューマノイドだった。ちょうどある展示会でカワダロボティクスの展示を目にし、その性能などを確かめて導入に至った。
「1台目は作業者でもやや難しい工程を自動化対象に選んだため、安定稼働まで苦労した。だが現場で微調整を繰り返し、今では問題なく運用できている」と美里製造部製造テクニカルサポートグループの伊藤祥司さんは言う。
導入30台を目指す
1台目を皮切りに、25年の夏ごろには早くも2台目を導入した。当初は別の医薬品の生産に使っていたが、その医薬品の生産数が増加したことで専用機を用意することになり、今の生産ラインに組み込むことになった。「別の生産ラインに移行しやすい点もヒューマノイドの利点。2台目はまさにその強みを生かした理想的な使い方ができている」と上野部長は強調する。
さらに今年2月には3台目、4台目と立て続けに増やし、すでに5台目の導入も予定するなど、非常に積極的な姿勢で手作業のロボット化を進める。「現場からは、手作業を置き換えられて助かっているとの声が出ている。またロボットが作業者1人分の役割を果たすため、シフトも組みやすい」と美里プランニンググループの稲葉駿グループマネージャーは話す。
今後も台数を増やし、人手作業のさらなる自動化に取り組む。「別の工場への横展開も検討するが、まずは美里工場であらゆる使い方を試す。30台を目標に、会社からストップがかかるまでやってしまいたい」と上野部長は冗談めかして言うが、その目の奥には並々ならぬ情熱を秘める。
今後の課題は、ヒューマノイドの効果検証という。「そもそも手作業では、生産量を予測しづらい面もあった。ヒューマノイドの稼働状況も含めてデータを収集し、現場の改善につなげたい」と上野部長は語る。
担当記者からのおすすめ!
〇ロボット基盤モデルの構築プロジェクトに参画/カワダロボティクス
〇信州大学内に「ロボラボ」を設立、産学連携で「新材料の作り方を作る」
〇【読んで発見「RTJ2026」vol.3】ヒューマノイドが続々と
