[注目製品PickUp!vol.84]従来のロボットハンドの苦手分野こそが得意分野/KiQ Robotics・リックス「柔軟指」
靴のソールがアイデアのもとに
元々柔軟指の構想段階では、素材は樹脂でなく磁性流体(磁石に反応する液体)の使用を検討していた。磁性流体を使えばワーク形状に沿った爪部の変形が容易にできるからだ。しかし、コストの高騰や安全性の面から磁性流体の使用は断念。
素材の再検討時に、靴のソール部を樹脂用3Dプリンターで作る大手スポーツ用品メーカーの取り組みから着想を得て、2023年に柔軟指を開発した。
共同開発のパートナーであるリックスは、元々柔軟指のいちユーザーだった。「当社の工場でハンドによる把持の仕損じによるチョコ停(トラブルによる短時間の稼働停止)に悩まされていたが、柔軟指を導入したことでその課題を乗り越えた。2年ほど使っているが劣化は見られず、耐久力に関する不安はない」とリックスのNB開発本部NB開発部で柔軟指の共同開発に携わる赤星直徳部長は話す。