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2025.06.09
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[注目製品PickUp!vol.84]従来のロボットハンドの苦手分野こそが得意分野/KiQ Robotics・リックス「柔軟指」

靴のソールがアイデアのもとに

 元々柔軟指の構想段階では、素材は樹脂でなく磁性流体(磁石に反応する液体)の使用を検討していた。磁性流体を使えばワーク形状に沿った爪部の変形が容易にできるからだ。しかし、コストの高騰や安全性の面から磁性流体の使用は断念。

 素材の再検討時に、靴のソール部を樹脂用3Dプリンターで作る大手スポーツ用品メーカーの取り組みから着想を得て、2023年に柔軟指を開発した。

 共同開発のパートナーであるリックスは、元々柔軟指のいちユーザーだった。「当社の工場でハンドによる把持の仕損じによるチョコ停(トラブルによる短時間の稼働停止)に悩まされていたが、柔軟指を導入したことでその課題を乗り越えた。2年ほど使っているが劣化は見られず、耐久力に関する不安はない」とリックスのNB開発本部NB開発部で柔軟指の共同開発に携わる赤星直徳部長は話す。

「柔軟指が普及するよう技術支援や広報活動などさまざまなサポートをする」と話すリックスのNB開発本部NB開発部の赤星直徳部長

 リックスはスタートアップ企業や大学との協業に力を入れており、同社が昨年設立した「リックス協創センター」の一角を柔軟指の技術検証の場として提供したり、顧客から寄せられた柔軟指に対する要望などの声を取りまとめて共有した上で課題解決に取り組む二人三脚の体制を築いた。
 今後は柔軟指と独自開発のハンドを組み合わせた通い箱搬送用エンドエフェクターの発売を目指す。

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