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2024.04.22

インタビュー

フォーミュラEで環境性の高いロボット塗装技術もアピール/ABB中島秀一郎社長

塗装機もさらに進化

――ピクセルペイント以外にも環境に優しい塗装ソリューションはありますか?
 ピクセルペイントは新機軸のシステムですが、従来からの塗装機をさらに進化させた高塗着塗装機「RB1000i-S」もこのほど開発しました。19年発売のRB1000iをアップグレードしたもので、ロボットアームの先端に取り付けて使う塗装機です。静電技術を活用し、塗着効率の高いベル型塗装機を使えば塗着効率は高まりますが、それでもこれまでは90%が限界でした。RB1000i-S なら塗着効率は90%~99%を実現できます。

高塗着塗装機「RB1000i-S」(写真下)は塗料の拡散を抑制できる(ABBプレゼンテーション資料より)

――なぜそれが可能に?
 さまざまな面を見直しましたが、例えば特殊な気流を発生させるなどしています。空気の膜で微粒化した塗料の拡散を防ぎ、無駄なく塗着させます。自動車のドアパネルの塗装試験をしたところ、従来機と比較して塗着効率がドア枠で16%、ドアで25%向上しました。材料費のコストダウンや二酸化炭素の排出削減に大きな効果が見込めます。塗料が舞い散らずブースの小型化が図りやすいなど、副次的なメリットもあります。

――採用するメリットは多そうです。
 ABBは日本国内での歴史も長く、日本の顧客、日本の現場に合わせた日本仕様の設備を提供できるメーカーです。経験豊富なメンバーがそろっており、日本法人だけでみれば大所帯ではない分組織としての機動力もあります。今回お話しした以外にもさまざまな提案ができますので、塗装システムを導入・更新する際はぜひ日本で塗装の研究開発をしているABBにお声がけいただければと思います。

(聞き手・ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)


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