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2020.11.11

日本法人のファンを作る【前編】/ABB中島秀一郎社長

ABBの日本法人(=ABB、東京都品川区)の社長に、ロボティクス&ディスクリート・オートメーション(RA)事業本部長としてロボット事業を統括してきた中島秀一郎氏が昇格した。日本人が社長に就任するのは12年半ぶりだ。ABBの日本法人生え抜きの中島社長は、今後のロボット業界をどのように見通すのか。新型コロナウイルス禍の荒波のなかでいかなるかじ取りをするのか――。中島社長に話を聞いた。

コロナ禍で伸びる分野も

シンガポールで採用されるコロナウイルスの検査システム

――今回のコロナ禍でロボット業界も影響を受けていますが、ABBの状況は?
 まずロボット業界全体について言うと、中国の需要が回復傾向にあり、統計などを見ても「思ったほど落ちていない」というのが正直な印象です。影響の大きさは顧客産業ごとにまちまちです。自動車向けはかなり落ち込んでおり、依存しているメーカーは厳しい状況でしょう。一方、ABBにとっては自動車も主要顧客の一つですが、電機や物流、三品(食品・化粧品・医療品)産業など、幅広い分野で展開しています。物流やヘルスケア、三品産業などはコロナの影響でむしろ好調です。また、米国などの大国は落ちていますが、東欧や東南アジア、中近東、アフリカの中小国ではまだまだ需要が伸びています。ABBは分野、地域ともにバランスよく展開しているので、総合的に見ればそれほどの落ち込みはありません。

――日本市場ではいかがでしょうか?
 2020年前半はコロナ禍以前に引き合いがあった案件をこなしていたので、悪くない状況でしたが、3月以降は引き合いが減り、受注も減少しました。しかし、8月で底を打ったと感じています。回復のペースは分かりませんが、今後は上がっていくと分析しています。

ロボット需要を考える上で自動車の生産台数は重要(写真はABBの自動車車体組み立てシステム)

――コロナ禍後、ロボット需要はどう変化しますか?
 そもそも、どこかのタイミングでいずれ「コロナ禍後」が訪れるのではなく、コロナウイルスと付き合いながら経済活動をする状況が続くと考えています。その上で、自動車の生産台数が元の水準に戻るか否かは、ロボット産業の今後を見据えるうえで重要だと思います。また、コロナ禍で減少する需要もあれば、新たに増える需要もあります。例えば個人向けの移動手段や、通勤の減少に伴い地方の住宅などのニーズは高まっています。作る物が変わろうと、何かを作るには設備投資が必要で、ロボットの需要も生まれます。トータルで見れば、ロボットの需要はあまり変わらないのかもしれません。

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