食品工場の自動化を後押し/Closer
ロボットをより身近に
同社が食品工場の自動化システムの開発を始めたのは1年ほど前。創業当初はコーヒーをロボットアームで自動的に提供するシステムを作り、外食産業の自動化に取り組んでいた。「自動化などの技術を気軽に使えるようにしたいという動機から起業した。会社名のクローサーには『ロボットをより身近にする』という意味を込めている」(樋口社長)と語る。 ある時知り合いから食品工場の自動化についての相談を受けた。大手食品メーカーの工場見学に行くと、人手作業で食品を製造しているのを目の当たりにした。 樋口社長は「テレビなどでよく目にしていたため、食品工場は既に自動化しているものだと思っていた。自動化できているのは一部で、製造する製品が頻繁に変わる生産現場ではいまだに手作業だった」と当時を振り返る。このことがきっかけで食品などの生産ラインを自動化するシステムを開発する方針に切り替えた。現在のメンバーは15名ほど。経済産業省や茨城県の支援事業などの採択を受け、日々開発に励む。
他分野や海外展開も
同社は展示会に積極的に参加し、ピックパッカーをPRする。3月7日~10日に東京ビッグサイトで開催するアジア最大級の食品や飲料品の展示会「FOODEX JAPAN(フーデックスジャパン)2023」にも出展予定。こうした機会を生かし、自社のアピールと同時に市場のニーズを調査する。ピックパッカーの開発時には50社以上から意見を聞いたという。 樋口社長は「1月にインスタントみそ汁の調味料をカップに入れる生産ラインに本導入が決まった。今後1年は工場での安定稼働を目標にする。それが達成できれば化粧品や医療品などの分野にも横展開できる。いずれは商社や販売代理店と協力して海外展開もしたい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)
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