[特集 国際ロボット展vol.10]扱いやすさは周りが決める/オンロボット、アジリル
ワークが飛び跳ね、踊る
産業用ロボットを使ったピッキング作業では、乱雑な物の中からワークを取り出す「ばら積みピッキング」がトレンドの1つ。
だが、そもそもピッキングする前に、ワークを1つずつに整頓した方が、ロボットは作業しやすい。
そこで、ワークを離散させて整頓するパーツフィーダーと、ピッキング作業専用のビジョンシステムを組み合わせて提案するのが、スイスに本社のあるアジリルだ。
日本法人のロバート・シャンプー社長は「ばら積みピッキングよりもサイクルタイムが早い。大手各社のロボットと接続しやすく、システムの立ち上げや事前設定も簡単なため、生産ラインやワークの変更にも柔軟に対応できる」とアピールする。
パーツフィーダー「Asycube(アジキューブ)」は、装置上の振動プレートに供給されたワークを、振動だけで自在にコントロールする。
前工程から供給され1カ所に片寄ったワークを、まずは容器の中央に集め、次に均等に離散させ、最後に位置を安定させる。それらを数種類の振動パターンで実現した。一連の様子は、ワークが隊列を組んで、飛び跳ねて踊るかのようだ。
その後にピッキング専用のビジョンシステム「EYE+(アイプラス)」で、ワークの位置を認識して、ロボットでピッキングする。事前の設定も簡単に済む。アジキューブは5サイズで展開しており、ワークサイズは0.1~150mmまで対応する。
展示会場に、テスト部品を
アジリル本社は、スイスの時計業界向けの自動化設備メーカーとして2007年に創業。12年には、当時から主力製品だったパーツフィーダーに特化した。
時計業界は部品が小さく、傷を避けなければならない。特殊な形状も多いため、従来のパーツフィーダーでは部品を整列させにくく、新たな供給方法が必要だった。
「そこでX軸Y軸Z軸の3方向の動きを組み合わせた、特殊な振動パターンを生み出した。スイスの時計業界向けで培ったノウハウと信頼性で、日本の顧客の要望にも応えたい」(シャンプー社長)。
今回の国際ロボット展でも、ロボットを使ったピッキング作業を披露する。シャンプー社長は「展示を通じて、技術力をアピールしたい。会場では、持ち込みテストに応じる。是非、取り扱いを自動化したい部品をわが社の小間まで持参して欲しい」と呼び掛ける。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
――国際ロボット展 直前特集 おわり
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