2022.02.24
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[特集 国際ロボット展vol.4] 業界全体の底上げを/FA・ロボットシステムインテグレータ協会 柳原一清 人材育成分科会主査(ヤナギハラメカックス社長)

必要なスキルを一覧

ロボットSI検定3級の実技試験の様子(SIer協会提供)

 人材育成分科会では主に「ロボットSI基礎講座」を開催しています。また、SIer協会全体では「ロボットSI検定」なども実施し、人材育成に努めています。    ロボットSI基礎講座ではSIerの新人や営業担当を対象に、ロボットシステムを構築するのに求められる基本的な知識を3日間かけて学習します。受講者層を広げるため、今年2月にはロボット導入企業の経営者や導入担当者向けの講座もプレリリースしました。来年度からは定期的に開催したいと考えています。  一方、ロボットSI検定は筆記試験と実技試験があり、3級、2級、1級の順に難易度が上がります。3級では、今年6月中旬から7月上旬に開催される3回目の試験からは一般企業向けにも開放します。2級は試験問題の作成がようやく大詰めを迎え、今年5月にSIer協会の会員企業向けに東京で第1回の試験を実施します。1級はこれから検討する予定です。  また、人材育成分科会では現在、SIer協会が21年度に作成した個人向けの「スキル標準」 をベースに、SIerに求められる個々のスキルを初級、中級、上級に分類する作業を進めています。 例えば、機械設計の初級レベルならどの程度の知識が必要で、どのような講座や検定があるか、といった情報を体系的に整理しています。SIer 協会が必要なスキルを一覧化して提示すれば、会員企業はそれを基に自社の強みや弱みを分析できますし、人材育成の方針や事業戦略を検討するのにも役立ちます。ひいては業界の底上 げにもつながると確信しています。    SIer業界の最大の課題は認知度向上に尽きます。人材を育てて業界全体を底上げするに は、まずは人材を採用する必要があります。それにはSIerの存在が広く認知されなければなりません。SIer協会ではロボット活用法の新しいアイデアを競い合う「ロボットアイデア甲子園」や大学生向けの技術展示会「RIX」などを開催し、学生層へのPR活動に努めています。    人材育成分科会でもSIerの魅力を大学生に伝えるため、大学生向けの特別講座を企画しました。昨年からスタートし、既に800人を超える大学生が受講しました。受講者に感想を聞くと、9割以上が「SIerの仕事に興味がある」と回答してくれます。今後も継続的に開催したいですね。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

柳原一清(やなぎはら・かずきよ) 1987年玉川大学工学部卒業。97年ヤナギハラメカックス入社、2002年取締役、08年社長。FA・ロボットシステムインテグレータ協会の幹事で、人材育成分科会主査も務める。1967年生まれの54歳。静岡県出身

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