新開発のロボットハンド、ロボットシステムの提案が相次ぐ
自動搬送装置メーカーやSIerも出展
電子基板の自動搬送装置などを製造するダイワ(岐阜県大垣市、安藤弘一社長)は、独自の3軸ロボットを搭載した基板の自動投入機や、川崎重工業のロボットを組み込んだ基板の外観測定向け自動化システム、無人搬送車(AGV)を応用した基板の搬送システムなどを展示した。
展示したのは基板向けのシステムだが、「その他の業界でもわが社のロボット技術を生かせないか、ニーズを調査することも出展の目的の一つ。織物や廃棄家電、野菜の搬送など、全く思ってもみなかった業界からの相談もあった」と安藤社長は話す。
ロボットシステムの構築を担うSIerの出展もあり、テックメイク(東京都東村山市、桑原伸一郎社長)は郵便局向けの「仕分けロボットシステム」を展示した。画像センサーで封筒やはがきの文字やバーコードを読み取り、送り先ごとに分別する。処理速度は10分間に100個。既に導入実績があるシステムで、「郵便局だけなく、物流向けに広くアピールしたい」と丹羽章太郎総務部長は言う。
重なった紙を真空グリッパーで吸い付けて持ち上げる場合、一番上だけでなくその下の紙も持ち上がってしまうことがあるが、吸い着けた後に少し傾けながら持ち上げることで、下の紙がくっついてくることを防止する。現場をよく知るSIerならではの工夫だ。
複数社が協業し、パッケージ製品を開発
複数の企業がコラボレーションして開発したパッケージシステムの展示もあった。
組み込みソフトを開発する日新システムズ(京都市下京区、竹内嘉一社長)や、ねじ締め装置メーカーのハイオス(東京都墨田区、戸津勝行社長)、リース会社の東京センチュリー、SIerのマシンオート(奈良県香芝市、杉野彰俊社長)は、「duAro(デュアロ)ねじ締めパッケージ」を会場で発表した。
川崎重工業の協働型双腕スカラロボット「デュアロ」とハイオスの手持ち式ねじ締め装置を組み合わせたシステムで、レンタルで短期間だけ借りることもできる。
日新システムズが開発した独自の操作用ソフトが大きな特徴で、ロボットを使ったことがない人でもタブレットで簡単に動作を設定できる。「ねじ締めは、小さな会社も含めてあらゆる現場にある作業。このソフトがあればだれでも簡単にねじ締めを自動化できる」と高崎和也営業部次長は言う。
これまで取り上げた企業の他にも、メーカーや商社、SIerなど数社がロボット関連の製品を会場で提案した。
会期中は同展の他に、社会インフラや災害対策に関するものなど多数の専門展が同時開催され、全展合わせて約4万5000人が来場した。そのうち自動化・省人化ロボット展が目当ての来場者がどれほどいたかは分からないが、多様な来場者がいただけに「他の展示会を見に来てたまたま通りがかった人が『そういえばわが社も人手不足で困っている』と引き合いにつながった」との出展社の声もあった。
(編集デスク 曽根勇也)