• 連載
2025.07.16
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[SI基礎講座vol.21] 技術者倫理と法知識①

ロボットのシステムインテグレーション(SI)に関する基礎知識を紹介する本連載企画。今回からは「技術者倫理と法知識」を取り上げる。ロボットシステムも含め、製造業で使われる各種設備には挟まれや巻き込まれなどのリスクが付きまとう。そのリスクを低減することが、設計者など設備の作り手には求められる。


〔今回の講師:IDECファクトリ―ソリューションズ 岡田和也氏〕


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【今回のポイント!】 〇「安全に運用できるか」を常に意識 〇企業活動が活発化しても労働災害は増やさない 〇災害事例から学び、危険を発見する目を養う

「安全か?」と常に自問自答を

SI基礎講座、スライド資料より

 ここからはリスクアセスメント(リスクを特定、評価・分析し対処すること)と安全対策について説明していきます。  技術者として設備を作る際には、いろいろな判断を迫られます。その際に何を重視すべきか、それは「人」ですよね。作業者がけがをせず、重大事故につながらない、迷惑をかけない設備になるような判断をしないといけません。  今作ろうとする設備は、生産性を維持しながら本当に安全に運用できるのか、こういった視線は常に持っていてください。  重大事故を起こす危険性のある設備を納品してしまうと、それがいつどうなるか分かりません。それを作った技術者の責任が問われることもあります。

全産業における労働災害発生状況の推移(SI基礎講座、スライド資料より)

 右の資料は令和3年までの死亡者数と死傷者数です。景気が落ち込んだ時期は企業活動が少し緩やかになり、労働災害もそれに合わせて減ります。反対に企業活動が活発になると、死傷者数も少し増えてしまいます。令和3年はわずかに上がっていますが、これからさらに伸びてしまってよいのかといえば、そうではありませんよね。そうならないように設備はしっかりと作り込まないといけません。  大きな事故があると、「その設備はどこが担当したのか」までやはり言及されます。そうならないよう「自分の作った設備は本当に大丈夫かな」と常に自問自答を繰り返していただきたい。それが技術者倫理の基本です。

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