人の知見を生かす! “リモート化”で外観検査の自動化に付加価値を/リモートロボティクス×イズミビジョンラボ
再研磨後の摩耗残りを自動検査
イズミビジョンラボがRemolinkの活用も含めて開発を進めるアプリケーションの一つが、ホブカッターの外観検査を自動化する協働ロボットシステムだ。ホブカッターとは歯車の切削加工に使われる切削工具で、円筒の外周に多数の切れ刃が付いている。切れ刃が摩耗したら、切れ味を回復させるために研削砥石(といし)で研磨する。この作業を「再研磨」と呼び、現在開発中の協働ロボットシステムはその再研磨後の切れ刃の摩耗残りを自動検査するものだ。 都築代表は「一つのホブカッターに最大で1000もの切れ刃が付いており、従来は作業者が全ての切れ刃を目視検査していた。それだけに自動化の需要も大きく、前職では直交ロボットと回転ステージによる専用の検査装置を開発した実績がある。だが、先行きの不透明さや不確実さを踏まえると、汎用性の高い協働ロボットを活用した検査装置にも一定のニーズがあると考え、開発に着手した」と説明する。
自動検査と手動検査を兼用
作業者がホブカッターを専用の固定台にセットした後、ビジョンセンサーを備えた協働ロボットがホブカッターの外周を撮影し、都築代表が独自開発した画像処理のアルゴリズムに基づいて再研磨後の切れ刃の良否を判別するのがシステムの主な作業フローだ。 通常時はあらかじめ決められたルールに沿ってシステム側がOKやNGを自動判別すればいいが、中には判別に悩むケースや詳しく調べなければならないケースも出てくるだろう。これに対し、同社はRemolinkを介してシステムを“自動”から“手動”に切り替え、知見のある熟練作業者がロボットを遠隔操作しながら良否を判別する仕組みを提案する。「前職時代に利用していた専用の検査装置でも、判別に迷った際は熟練作業者が別日にマイクロスコープを使って細かくチェックしていた。こうした作業が遠隔からでも可能になれば自動検査と手動検査を一つのシステムで兼用できるようになり、生産性や付加価値を高められる」と都築代表は強調する。 同社は来年1月をめどに協働ロボットシステムを完成させる計画だ。今後、Remolinkの活用事例も含む技術サンプルとして顧客にPRしていきたいと考えている。