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2022.11.28
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[ロボットが活躍する現場 vol.22]難易度の高い自動化で得たノウハウと自信/シチズンマシナリー

ねじの取りミスを防ぐ

ねじを取りそろえるロボットシステム

 また、組み立て作業時に必要なねじを一括して取りそろえるロボットシステムも構築した。  一見すると簡単な作業に思える。しかし、ねじは形状が似ており、長さや大きさなどの微妙な違いで膨大な種類がある。人手では、取りそろえるべきねじの種類の誤りや、個数間違いが発生する恐れがあった。  そこで同システムを構築した。組み立てる機械の機種別に、仕切りの付いたトレー型の容器を用意した。トレーの隅には二次元コードを添付している。  ロボットシステムがそれを読み取り、必要なねじの種類と本数を把握する。ねじを種類別に保管する平積みの容器から必要な本数だけ取り出し、種類ごとに分けてトレーに入れる。

検査工程に導入した人型の双腕ロボット。測定機を自律的に操作する

 「以前は機械を組み立て終わったにも関わらず、取りそろえた容器にねじの余りがあると、『締め忘れがあったのでは』と作業を見返すこともしていた。そういった余計な心配事を減らす意図もあった」(相川課長)。  その他にも、検査工程に人型の双腕ロボットを導入した。  このロボットは検査に使う各装置と接続されていない。そのため、画像ベースの寸法測定機に測定ワークをセットするだけでなく、測定の開始ボタンも押す。ロボット自身のカメラで位置情報や、画面表示を識別して自律動作する。

自社の製品開発にも生かす

「社内の自動化で得た自信を、顧客にも還元したい」と中島圭一社長

 同社は18年から、積極的な自動化投資を進めた。そのきっかけは人手不足だ。  日本の工作機械業界をとりまとめる日本工作機械工業会(会長・稲葉善治ファナック会長)は、同年に年間で過去最高の会員受注額となる1兆8158億円を記録した。  同社も業界全体の統計同様に、多くの受注を得た。一方、人手不足で生産ペースを上げきれなかった。そこで、本社工場で産業用ロボットなどを積極的に導入し始めた。  中島圭一社長は「工作機械を使った部品加工の前後工程は、ある程度まで自動化されていた。そこで、難易度の高い組み立て作業や検査工程の自動化にも着手した。この4年で優れた成果を残してくれた」と評価する。

工作機械と併せて提案する「FAフレンドリー」

 今後は、自社の生産で培った自動化や省人化の技術を、パッケージソリューションの「FAフレンドリー」などの形で顧客にも提供していく。  FAフレンドリーは工作機械と組み合わせて使えるよう、ロボットシステムをパッケージにしたもの。機械のオプションとして展開している。  中島社長は「顧客の自動化ニーズに合わせて、社内での知見も生かしながらラインアップを広げていきたい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)

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