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2019.12.20
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[特集 国際ロボット展vol.11]明日が最終日! 新型協働ロボとデジタルツインに注目

協働ロボは大可搬化

 協働ロボットでは、可搬質量の大きい製品が増えた。安川電機のモートマンHC20も今年発売された新製品だが、その他のメーカーも可搬質量の大きいタイプを拡充した。  デンマークに本社を置くユニバーサルロボット(日本支社=東京都港区、山根剛支社長)は16kg可搬の新製品「UR16e」を使った段ボール箱の積み下ろしなどを展示した。  「これまでは機能を説明するための展示をしていたが、今回展では実際の導入現場に近いシステムを展示した。生産性を高めるための戦略的なパートナーとして、ユーザーと継続的な関係性を築きたい」と山根支社長は話す。    その他、東芝機械も従来は片腕当たり3kg程度の可搬が多かった双腕ロボットの分野で、片腕6kg可搬の製品を参考展示。協働ロボットの高可搬化は一つのトレンドと言えそうだ。

16kg可搬のユニバーサルロボットの新製品「UR16e」
東芝機械が参考出展した双腕ロボット

パッケージ化で攻める

 パッケージ化で攻勢をかけるメーカーも多い。本体と周辺機器などを全てセットにして一つのパッケージにすることで、構想を練ったり個別の設計や製造の手間が省ける。システムのコストが安価になるだけでなく、立ち上げまでの期間を大幅に短縮できるメリットもある。  台湾の協働ロボットメーカー、達明機器人(テックマン・ロボット)は、パッケージ化したロボットシステム「TMオペレーターシリーズ」の開発に注力する。会場では来年発売予定の箱の積み下ろしシステム「TMパレタイジングオペレーター」を披露した。同社のロボットにはビジョンシステムが標準搭載されるが、それだけでなく吸着ハンドやロボット本体の高さを変える昇降機構、専用のソフトウエアなどをセットにした。  さらには、独自の工場向けIoTシステム「TMマネージャー」や、AI機能の一種である機械学習を使った画像検査システムなども紹介した。「テックマンはロボットアームの会社ではない。ソフトウエアの開発力もあり、IoT やAIまで含めたよりスマートなロボットシステムを提供できる」と黄識忠最高執行責任者(COO) は話す。

テックマンが来年発売する「TMパレタイジングオペレーター」
「テックマンはロボットアームだけの会社ではない」と黄識忠COO

ばら積みピッキングシステムが1300万円から

 MUJIN(東京都江東区、滝野一征最高経営責任者<CEO>)もパッケージ化したシステムを発表した。自社のばら積みピッキング技術に、ロボット本体や架台、安全柵などをセットにした。カスタマイズの有無で価格は変わるが、1300万円からの低価格で提供する。自社のピッキング対象物がこのシステムで対応できるか、本社内のラボでのテストも可能だ。  その他、物流向けのシステムも紹介。「展示したのは既に導入実績があるシステムで、MUJINは要素技術や一部ユニットだけでなく、ロボット本体やAGVや周辺機器まで含めシステム全体を提供できる」と広報担当者は話す。

MUJINはばら積みピッキングシステムをパッケージ化
物流拠点向けのシステムも積極的にアピール

存在感示すデンマーク勢

日本の展示会に初出展したMiRの製品

 国際ロボット展に初出展の企業も多く、日本の展示会に初めて出る海外メーカーもあった。  特に目立つのがデンマーク勢で、AGVメーカーのモバイル・インダストリアル・ロボッツ(MiR、ミア)は国内初出展ながら大きな小間で製品の全ラインアップをアピールした。可搬質量100 kgから1tまで各製品に加え、MiRと同じテラダイングループのユニバーサルロボット製協働ロボットを搭載したAGVも展示した。  「今年の3月に横浜市に日本事務所を開設した。来年1月には技術員も入るため、メーカー直接のテクニカルサポートもできるようになる。今回の出展で多くの引き合いをいただいた」と小泉直大セールスディレクターは手ごたえを語る。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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