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2025.09.11
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[注目製品PickUp! vol.88]過酷な使用環境でも、長く安定してワークを認識/ALSONTECH「06Aシリーズ」

中国のALSONTECH(アルソンテック)は産業用ロボット向け3Dビジョンセンサーを開発しており、先進的な工場で多数の導入実績を誇る。年内に発売予定の最新機種「06Aシリーズ」は、認識速度や精度が高く、過酷な使用環境でも長く使える。中国や東南アジアを中心にシェアを広げる中、今後は日本市場でも知名度の向上と拡販を狙う。

適応性が強み

 ロボットシステムの動作に精密さや柔軟性を持たせたい場合、有効な手段の一つがビジョンセンサーだ。ビジョンセンサーのメーカーは今や世界中に多数あるが、ALSONTECHは2014年に創業し、中国市場で3Dビジョンセンサーを先んじて提案してきた。

 海外事業部営業担当の周真豪さんは「ハードウエアとしてのカメラと、画像処理や動作検証などに役立つソフトウエアの両方を開発する。製造業で多数の導入実績があり、累計販売台数はグローバルで8000台を超える」と語る。

年内に発売予定の3Dビジョンセンサー「06Aシリーズ」

 今年7月に中国で開催された自動車産業の展示会では、年内に発売予定の最新機種「06Aシリーズ」を参考出展し、大きな注目を集めた。大きな特徴は、周辺環境の影響を低減して多様なワークを認識できる、優れた適応性にある。レーザーを照射し双眼レンズでワークを認識する方式を採用しており、外乱光への耐性が高い。

 作業環境が暗い場合でも、補助用のランプを内蔵するため安定した認識性能を誇る。表面に光沢のあるワークや黒色のワークも問題なく認識できるという。

 また「IP67」相当の防水・防じん性能も備え、過酷な環境でも長く使える。「従来機種では屋外かつ潮風の影響もある港で、8年ほど稼働する事例もある。06Aシリーズも同等の耐環境性を保証しており、あらゆる現場で自動化に貢献できる」と周さんは自信を見せる。

従来機種の特徴を継承

 06Aシリーズのラインアップは、コンパクトでロボットへの搭載に向く「AT-S1000-06A-S1」と、視野範囲が広く作業空間の上部に設置して使う「AT-S1000-06A-S4」の2種類をまず発売し、以降は視野範囲の異なる製品を順次追加する。用途は機械への被加工材の供給や部品の組み立て、ばら積みピッキング、塗装、積み付けなど幅広い。

コンパクトでロボットに搭載しやすい「AT-S1000-06A-S1」
視野範囲の広い「AT-S1000-06A-S4」

 同社ではこれまで、レーザー式の「Aシリーズ」と、パターン投影式の「Cシリーズ」が主力製品だった。Aシリーズは適応性が高く、Cシリーズは認識精度と速度が強み。だがユーザーから「AシリーズとCシリーズ両方のメリットを併せ持つカメラが欲しい」との要望が多く、06Aシリーズを開発した。Aシリーズと同じレーザー式を採用しながら、認識精度や速度をさらに高めた。

 また同社は3Dビジョンの運用をサポートするソフトも開発しており、06Aシリーズと合わせて複雑な作業の自動化を提案する。「ALSON VizMaster(ビズマスター)」は点群データの処理などを効率的にでき、「ALSON Light Bin Pick(ライト・ビン・ピック)」はロボットの動作のシミュレーションや干渉チェックに役立つ。これらのソフトは日本語対応のため、日本のユーザーでも安心して使える。

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