2019.07.26
★お気に入り登録

自動化は協働ロボで柔軟に! 北陸の工作機械メーカーが掲げる「スリートップ戦略」/中村留精密工業

自動化技術部を新設

「オートメーションの分野ではスピードとスペース、フレキシビリティーの3つを追求する」と中村匠吾専務

 「オートメーション」の分野では「スピードとスペース、フレキシビリティー(柔軟性)の3つの方向性を追求する」と中村専務。  19年4月には「自動化技術部」も新たに立ち上げ、今後もさらなる拡大が見込まれる自動化関連の需要の取り込みに力を注ぐ考えだ。  スピードでは、金属部品の搬送に使うガントリーローダーの技術開発に今後も取り組み、世界最速を目指すという。  スペースでは、18年に東京で開かれた日本最大規模の工作機械見本市「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」で初披露した「コンパクトローダー」を戦略商品として提案する。加工機に内蔵するタイプのローダー(加工材料の供給機)で、省スペースが売りだ。MEX金沢2019でも、コンパクトローダーを内蔵した複合加工機「WY-150」を出展した。

需要の変動に対応

マルチストッカー「箱兵衛」に協働ロボットを搭載し、バリ取りの自動化システムを提案した

 そして、MEX金沢2019の展示物の中でも、特に来場者の注目を集めたのは協働ロボットを使った柔軟性の高い自動化システムだった。中村専務は「かなりの人だかりができ、反響が大きかった」と胸を張る。  同社は、オートメーションの3つの方向性のうちフレキシビリティーを最も重視しており、中でも最近は人と一緒に働ける協働ロボットを活用した自動化提案に力を入れる。MEX金沢2019の展示もその一環だ。  なぜ協働ロボットを使うのか? 中村専務は「需要の変動に対応するため。協働ロボットはティーチング(ロボットに動作を覚えさせること)が簡単で、製造現場の状況に合わせて柔軟に使える」とその理由を説明する。  具体的には、工作機械などに供給するための部品を収納するマルチストッカー「箱兵衛」にオムロンの協働ロボットを搭載したバリ取りの自動化システムを展示した。バリとは、金属部品を加工した時に切り口などにできてしまう小さな突起物のことだ。箱兵衛には加工物が入った箱を多段式に収められるため、多数の加工物を自動で加工できる。  ①協働ロボットが箱兵衛にストックした部品を取り出し②箱兵衛の側に設置されたバリ取り装置まで部品を運び③バリを取り終えた部品を箱兵衛に戻す――までの一連の作業を自動化した。  同社は今回、バリ取りを自動化するシステムを参考出展したが、組み付けや洗浄、計測など、バリ取り以外の用途も視野に入れる。  中村専務は「当社が属する工作機械業界は『山谷産業』と呼ばれ、需要の浮き沈みが激しい。箱兵衛に協働ロボットを組み合わせたのは、実は需要の変動にこれまで悩んできた当社の製造現場で生まれたアイデア。もし今後、需要が変動してバリ取りをする部品が減ったとしても、組み付けや洗浄などに用途を柔軟に変えられる」と語る。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

★お気に入り登録

BASIC KNOWLEDGE