[SIerを訪ねてvol.7]少数精鋭のファブレス設計者集団【後編】/レステックス
ファブレスで設計工程のみ担当
2011年の創業以来、順調に売上高を伸ばす同社は今年の1月、山梨県甲斐市に山梨支店を建設し、3月から稼働を始めた。中央自動車道の甲府昭和インターチェンジから車で10分ほどの場所だ。 1階は駐車場で、2階を事務所にした高床式の建物で「本店(本社)がある千葉県の市街地ではよくある設計なので何の違和感もなくこの案を採用したが、支店がある地域は土地が安く、周囲に高床式の建物はあまりなかった。狙ったわけではないが、周辺では唯一の高床式の建物として地元では注目の的になっている」と斉藤社長は笑う。 同社はファブレス(工場を持たない)のSIerで、千葉県の本社には設計や開発などの機能しかない。山梨支店にも工場の機能はなく、電気設計の技術者や、ロボットに動作を入力するティーチング技術者などがいるだけだ。
自立した技術者集団を目指す
同社は水曜日だけが出社日で、他の日は自宅勤務を基本にするなど、ユニークな人事制度を採用する。 社員の育成方針も独特だ。レステックスは、技術者をしていた斉藤社長が勤め先の廃業に遭い、若手を連れて独立した企業。「昔いた会社は経営者の急逝により突然なくなった。同様に、当社を含め『あらゆる企業はいつかはなくなる』と社員には言っている。しかし腕の良い技術者は会社がなくなっても引く手あまたで仕事には困らない。そうした自立した設計者の集団を目指している」と斉藤社長は話す。 資格取得を奨励し、社員の見本となるよう斉藤社長自身も技術コンサルタントの国家資格である技術士など、さまざなな難関資格を取得した。 「私は今46歳。今は私がレステックスの経営者で、社内では最もキャリアを積んだ現役技術者でもあるが、誰しも60代になると保身に走りがち。そうなる前に一線を退いて、十数年後は新たなことに挑戦しているかもしれない。今は若手よりも私のほうが『稼げる技術者』だが、それまでに若手にも稼げる技術者になっていてほしい」と斉藤社長は話す。
――終わり (ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)