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2020.09.03

テレワークの課題にどう対応?/レステックス

ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のレステックス(千葉県松戸市、斉藤圭司社長)は、新型コロナウイルス禍が始まるよりずっと以前から、テレワーク制度を採用してきた。コロナ禍が長期化し、4月の緊急事態宣言発令中ほど全面的ではないまでも、部分的にテレワーク制度を維持する企業もある。先駆的に導入した企業はテレワークに伴う問題をどのように解決したのか、斉藤社長に話を聞いた。

従来からのテレワークで混乱なし

テックマンロボットの製品をパッケージ化した「TM-REX」を販売する

 レステックスは、産業用ロボットなどを使い自動化システムを構築するSIerだ。
今回の新型コロナの影響で顧客の立ち会いができず、納入時期がずれ込むなどはあったが、影響は少ないという。

 同社は社員数9人の小規模なSIerで、アルミの鋳造システムを自動化した経験が豊富。以前から取引のあるアルミ鋳造会社が今夏に設備の大幅な入れ替えをするため、その自動化を担うなど、大口の仕事を抱える。

 また新規事業として、台湾の達明機器人(テックマンロボット)の協働ロボットを架台などと共にパッケージ化した製品「TM-REX」も販売。今年1月の展示会で得た複数の引き合いは計画の凍結や中止が相次いだものの、その分既存事業での新規案件もあり、全体の売り上げに影響はないという。

コロナ機に良い変化も

「テレワークで効率は上がった」と話す斉藤社長

 同社は以前からテレワークを採用する。社員の大半は設計技術者で、顧客の工場に行くこともあるが、週に1回程度出社日を設け、それ以外の日は各自自宅で作業を進める。同社の設立は東日本大震災があった2011年の12月。災害などがあっても事業を継続できるよう、仕事場にとらわれないテレワーク制度を採用した。

 当初、通勤にかかる時間が不要になると社員は喜んだが、ずっと家にいて他人と話をしないと気が滅入るとの声も上がった。そこで出勤日を決め、会社に集まるようにした。「テレワークでは厳しく監視しすぎないことが重要。気分が乗らない時は日中に長い休憩を入れてその分朝晩に仕事をするなど、柔軟に働いてもらう方が効率が良い」と斉藤社長は言う。
 また仕事に対する姿勢がゆるみ過ぎないよう「業務効率を高めるために採用している制度で、問題があれば取りやめる場合もある」とくぎを刺すが、各自が自分の役割を自覚し責任を持って働くことで、効率も上がったという。

 4月に緊急事態宣言が発令されて以降は出社日をなくし、完全テレワークに移行したが、「普段からテレワークに慣れているので、全く混乱や問題はなかった」(斉藤社長)。
 また、新型コロナによるプラスの影響もあった。遠方の企業からの連絡が増え、打ち合わせがウェブを使った会議システム「Zoom(ズーム)」で済むようになったこと。ロボットシステムを構築するには事前の打ち合わせが重要だが、打ち合わせのためだけに出張するのは効率が悪く、これまで遠方の案件は断っていた。「現場の事前調査と納入時にだけ現地に行けばいいなら、受注できる範囲が広がる」と斉藤社長は話す。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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