迫る「2024年問題」、物流業界の最前線に注目【後編】/国際物流総合展2023
9月13日~15日、東京都江東区の東京ビッグサイトで物流関連の専門展「国際物流総合展2023(第3回INNOVATION EXPO〈イノベーションエキスポ〉)」が開催された。物流業界では、労働時間に関する法改正に伴い人手不足などが深刻化する「2024年問題」が叫ばれている。今回展ではこの問題に対処するべく、各社が物流の自動化や効率化の提案を強めた。後編では無人搬送フォークリフト(AGF)や自律走行型搬送ロボット(AMR)、周辺機器などを中心に取り上げる。
トラックへの積載も自動化を/リードテック
物流業界では「2024年問題」をいかに解決するかが大きな課題だ。24年4月からトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が適用されることで生じるさまざまな問題を総称し、2024年問題と呼ぶ。 トラックへの積み込みや倉庫内の搬送業務を自動化・効率化できれば、待機時間なども含めたトラックドライバーの長時間労働の解消につながる。会場では、それを実現できるAGFやAMRなどに注目が集まった。 リードテック(東京都中央区、前田春紀社長)は、AGFを活用して物流業務の革新をアピールした。 会場では2台のAGFを使い、自動搬送のデモを披露した。誰でも直感的に使えるタブレット型の操作端末「ユニバーサルUI」でAGFの動作を制御できる。搬送する対象物や移動先などを選ぶだけで、AGFがパレット(荷役台)を運ぶ。 さらに、トラックへの積み込みや荷下ろしも実演した。通常、トラックの停車位置やパレットの積載位置は一定でない。AGFで毎回異なる位置を認識し、それに合わせて動くのは難しいとされる。しかしデモでは非常にスムーズな積み替えを見せ、多くの来場者をくぎ付けにした。
同社は今年6月、清水建設とレンタルのニッケン(東京都港区、斉藤良幸社長)、東京センチュリーが合同で設立した。中国のAGFメーカーのVisionNav Robotics(ビジョンナビ・ロボティクス)とパートナーシップ契約を結んでおり、物流業界の業務の効率化や省人化を目指す。今回展でデモに使ったのも、VisionNav RoboticsのAGFだ。 VisionNav RoboticsのAGFの特徴は高度なセンシング技術で、パレットの位置や向きに合わせてフォークリフトの動作を調節できる。AGFが後退して位置を合わせるなどの必要がなく、パレットに向かって前進しながら爪を差し込めるため、限られたスペースでの運用も問題ない。 リードテックの川又哲久さんは「ユニバーサルUIをセットにしたAGFを、レンタルで提供する。定期メンテナンスもわが社で実施するため、現場の負担を減らせる。物流業務を革新するソリューションを提供して、2024年問題の解決に貢献したい」と話す。
中国AMRメーカーが初出展/フォワードエックス
中国に本社を構える搬送ロボットメーカーの日本支社、フォワードエックス(東京都中央区、藤本和成支社長)は今回が初出展で、複数台のAGFやAMRを出展した。 最大積載量1500kgのAGF「Apex(エイペックス)C-1500L」は、日本産業規格(JIS)が定めるサイズのパレットに適合する構造で、床置きのパレットのリフトアップに向く。 また新発売のAMR「Flex(フレックス)60-SW」は、通路幅が800mmあれば走行できる。2段のトレーに搬送物を載せられ、積載質量は合計で60kg。物流倉庫のピッキングや工場の工程間搬送など、幅広い用途で運用できる。 藤本支社長は「重量物も軽量な製品も取り扱えるように、搬送ロボットのラインアップを拡充した。多様化するニーズに応え、現場の省人化をサポートしたい」と意気込む。