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2019.10.07
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現場でどう使う? 展示会で見た協働ロボットの多彩な提案

コラボレーション展示に注目集まる

山善はさまざまなメーカーの協働ロボットを展示した(写真はダイアディックシステムズの協働ロボット)

 今回展では、協働ロボットを提案する商社も目立った。  機械商社の山善は、ファナックや台湾のテックマン・ロボット、ダイアディックシステムズ(金沢市、鶴海正隆社長)の協働ロボットを一堂に展示した。中でも、テックマン・ロボットの取り扱いを始めたのはつい最近で、FAE支社の公文良成営業部長は「協働ロボットの提案の幅をさらに広げた」と狙いを話す。

搬送をしながら、同時に高精度な寸法測定も

 同社の展示では特に、さまざまな商材を取り扱う商社ならではのコラボレーション展示が来場者の注目を集めた。  例えば、搬送機器メーカーのNKE(京都市伏見区、中村道一社長)と位置検出用センサー(スケール)を製造するマグネスケール(東京都江東区、藤森徹社長)が共同開発したロボットハンドや、プラスチック製品を製造する国盛化学(愛知県小牧市、塩谷陽一社長)のケーブル保護管、ドイツのセンサーメーカーのSICK(ジック)のビジョンセンサーなどを、ファナックの協働ロボット「CR-15iA」に組み合わせた独自のロボットシステムを披露した。公文営業部長は「わが社が取り扱う経営資源、つまり商材を『クロッシング(かけ合わせ)』することで新しい価値を提案する」と意気込む。  このシステムの注目ポイントは、NKEとマグネスケールが共同開発したハンド。工作機械の位置決めに使われるスケールをハンドに組み込んだのが特徴で、部品の搬送と同時に高精度な寸法計測を実現できる。この製品は参考出展だが、マグネスケールの吉田昌春マグネスケール事業本部事業戦略企画室長は「わが社のスケールを使えば、ロボットは搬送機能を持った測定機になるだろう」と太鼓判を押す。

まずは知ってもらう

「まずは知ってもらうことが大事」と話す小笠原誠社長とTMシリーズ

 工作機械や産業機械向けのサーボモーターなどを取り扱うSSI(浜松市中区、小笠原誠社長)は、テックマン・ロボットの協働ロボット「TMシリーズ」を展示した。  同社は昨年の夏ごろにテックマン・ロボットと代理店契約を結び、19年に入り本格的な販売を始めた。販売店やシステム構築を担うシステムインテグレーターなど、パートナー企業の開拓にも力を入れる。  それだけに、小笠原社長は「まずは知ってもらうことが大事。テックマン・ロボットの協働ロボットをPRするために展示会にも積極的に出展している」と強調する。  TMシリーズの最大の特徴は、ビジョンセンサーが標準で搭載されていること。また、直感的にプログラムを作成する機能やロボットアームを手で直接動かすことでティーチングする「ダイレクトティーチング機能」なども備え、ロボットに不慣れな人でも簡単に操作できるのが売りだ。  小間では実機を展示し、TMシリーズの特徴を前面に打ち出した。小笠原社長は「来場者の反応はよい」と手応えを語る。

6軸とスカラの組み合わせ

三機が提案した独自のロボットシステム

 工作機械や治工具、自動販売機など幅広い商材を取り扱う三機(名古屋市熱田区、木島正人社長)は、中国のAUBO robotics(オーボロボティクス)の6軸の協働ロボット「AUBO(オーボ)-iシリーズ」とダイアディックシステムズの4軸スカラタイプの協働ロボット「DSR02-400」、ブイ・アール・テクノセンター(岐阜県各務原市、藤本朗社長)が開発した画像処理ソフト「LF-Sticker(スティッカー)」を組み合わせた独自のロボットシステムを提案した。    オーボ-iシリーズもDSR02-400も可搬質量や一部の機能に制約はあるものの、低コストで導入できる点を強みに持つ。三機の吉田勝彦課長は「導入において最終的に重要になるのは価格」と強調し、両製品の価格優位性をアピールする。  またLF-スティッカーは、基準の画像とカメラで撮影した画面を、3×3などのマス目に分割して比較することで、それぞれのマス目に物があるかどうかを識別する。シンプルな仕組みで物の有無を判別できるため、安価で簡単に設定できるのが特徴だ。  小間では、DSR02-400がピンポン玉をオーボ-iに供給し、オーボ-iが3×3のマスに分割したボックスにピンポン玉を入れるデモを披露した。どのマスにピンポン玉があるかを判別するのにLF-スティッカーを活用した。吉田課長は「4軸のスカラロボットと6軸ロボットのそれぞれの動きを分かりやすく示した」と説明する。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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