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2019.03.01
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[注目製品PickUp! vol.9]設置面積は座布団以下!? 500mm四方に収まるコンパクトなロボット【後編】/スギノマシン「スイングアーム式コラムロボット」

狭いところで動くのは魅力

JIMTOF2016で初披露したコラムロボット。現行の改良版とは形状がやや異なる

 前編でも紹介した通り、コラムロボットを公の場で初披露したのは2016年。11月に東京で開かれた工作機械の見本市「第28回日本国際工作機械見本市」(JIMTOF2016)だった。現行のコラムロボットはJIMTOF2016で披露したものの改良版で、17年にリリースした。

 従来機と改良版を比べると、ロボットの構造やアームを動かす機構はほぼ同じだが、改良版の方がより省スペースだ。形状も従来機とはやや異なる。

 JIMTOF2016では一貫生産ラインとして、MCと洗浄機の間にコラムロボットを設置して展示したが、MCと洗浄機の間が今よりも若干広かった。それでも、数多くの来場者から「ロボットが狭いところで動くのは魅力」との声が聞かれた。

 「狭いところで稼働するというのは、当初はコラムロボットの数ある特徴の一つだった。しかし、JIMTOF2016を通じ『ロボットに割くスペースを削減したい』との顧客の確かなニーズを感じ取った。そこで、狭いところで動くことを際立った特徴にするべく、改良版の開発に踏み切った」と青木係長は経緯を説明する。

徹底的に狭さを追求

 JIMTOF2016の閉幕後、従来機以上に省スペースを目指してコラムロボットの改良版の開発が始まった。

 だが、従来機は約700mm四方に収まるほどコンパクトだった。改良版は、従来機よりどれぐらいスペースを削減すればよいのか――?

 「多関節ロボットがこれだけ広まった中で、コラムロボットを新たに使ってもらうには明確なメリットを打ち出さなければならない」と杉野常務執行役員。すでに広く普及している多関節ロボットと差別化を図るには、狭さをとことん追求するほかなかった。

 青木係長は「初めは『600mm四方でいいのでは』との意見も出た。しかし、省スペースを追い求め、最終的に500mm四方とした」と話す。

 改良版の開発にあたり、青木係長をはじめとした開発メンバーは皆、実際に500mm四方のスペースに立った。日常生活でなじみのある物と比べると、500mm四方のスペースは一般家庭などで広く使われる「銘仙判」と呼ばれる座布団のサイズよりも小さい。

 青木係長は「従来機を開発した時も実際に約700mm四方のスペースに立った。当時も狭いと感じたが、今回は本当にギリギリ。とても人が作業できるスペースではなかった」と振り返る。

 ロボットの構造やアームを動かす機構など、従来機のコンセプトは踏襲しつつも、縦横で200mmものスペースを削減する必要があった。「アップルの創業者、スティーブ・ジョブズが携帯音楽プレーヤーのiPod(アイポッド)の試作機を水に浸し、試作機から泡が出たことを受けて、『まだ隙間がある』とさらなる小型化を追求したとの逸話がある。コラムロボットも、まさにそのような感じで内部構造を見直した」と青木係長。

 また、工業デザイナーの意見も交えながら、ロボットのデザインにも気を配った。

 そして、改良版を17年の秋に満を持して発表した。17年10月に名古屋市で開かれた工作機械の見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2017」で改良版を披露し、来場者の大きな注目を集めた。

「明確なメリットを打ち出さなければならない」と杉野岳常務執行役員
省スペースを追求したコラムロボットと青木卓也係長

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