2026.10.06
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FAでAIはこう使う、倉庫ソフトを 工場物流にも/Mujin 滝野一征 CEO

人工知能(AI)の中でも、コンピューター上で完結せず現実世界に作用する「フィジカルAI」が大きな注目を集めている。Mujin(ムジン、東京都江東区)の滝野一征最高経営責任者(CEO)は、「FA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)でフィジカルAIを使うにはさまざまなハードルがあり、それを乗り越えられる企業はあまりない」と語る。また、同社は「倉庫実行システム(WES)」なども開発し、製造業向けにも提案する。滝野CEOにフィジカルAI活用の展望と同社の戦略を聞いた。

(聞き手 八角 秀:ロボットダイジェスト編集長)

製造現場でAIを使う難しさとは

――フィジカルAIに大きな注目が集まっています。御社もこの言葉を積極的に使っていますね。
 はい。ロボット向けにAIを提案する企業はいくつもありますが、「本当のフィジカルAI」を現場に実装できるのはMujinしかいないと考えているため、情報発信に力を入れています。

――フィジカルAIの実装は難しいのですか。
 非常に難しいです。生成AIなどの一般的なAIは「不確実性」があるもので、「失敗をしながら学んでいくことが前提」の技術になりますから、失敗はゼロにはなりません。99.9%の確率でうまくいくとしても、工場設備で1000回に1回失敗するのでは使いものになりません。今は人の言葉や状況を理解してロボットを動かせる「VLA(ビジョン・ランゲージ・アクション)モデル」などのAI技術も登場していますが、それで制御するロボットを工場に入れて、もし事故が起きたらどうなるでしょうか。生産ラインは停止し、数千万円する設備が破損するかもしれません。場合によっては、人の命に関わることも起こり得ます。信頼性を担保できない設備を導入する企業はないと思います。

2026年9月に都内で開かれた「国際物流総合展2026」でもフィジカルAIをアピールした

――どうすればAIを製造現場で使えますか。
 Mujinでは、AIと「数理モデルに基づくルールベースの制御技術」を最適に組み合わせています。ばら積みピッキングを例にとると、ワークなどの認識にはAIを使います。ワークの認識は1000回に1回失敗しても、再トライすればいいだけなので大きな問題にはなりません。その認識に基づき、ロボットアームを制御するのは数理モデルに基づく「モーションプランニング技術」です。道路のガードレールをイメージしたら分かりやすいと思います。道路を自由に走るとしても、「ここからは外れてはいけない」という部分はレールで制限するのと同じことです。また「応答時間の違い」も問題となり、ロボットは0.001秒単位で制御しますが、AIの思考速度ではこれに全くついていけません。

――適材適所で使い分けるのですか。
 そうですね。FAの制御にAIを使う難しさはそれだけではありません。現実世界には摩擦があり、摩耗があり、たわみなどの変形や慣性による位置ずれも発生します。機器のあらゆる部品にはわずかな個体差があり、温度が変われば物の寸法も性質も変わります。デジタル世界のシミュレーションでうまくいっても、現実世界ではうまくいかないのが当たり前です。デジタルにはデジタル、リアルにはリアルのノウハウがあり、これは別物です。AIベンチャー企業にはAI技術はあっても、モーションプランニングのような信頼性を担保できる技術はなく、実際に手を動かしてシステム構築する中で培った現場の知見もありません。これらがそろっている企業は、Mujin以外にはあまりないと思います。

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