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2025.09.17
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[特別企画 密着! 高校生ロボットSIリーグvol.4]2班に分かれて授業、講師も記者も感心/愛知総合工科高校

「第4回高校生ロボットシステムインテグレーション競技会(高校生ロボットSIリーグ)」が今年12月13日と14日の2日間、愛知県常滑市の展示会場「Aichi Sky Expo(アイチ・スカイ・エキスポ、愛知県国際展示場)」で開かれる。ロボットダイジェストでは「特別企画」として、前回大会のチャンピオン校(最優秀賞受賞校)である愛知総合工科高校が今年の第4回大会に挑む様子に密着する。現在進行中の取り組みを追いかけるため、結末は記者にも分からない。今回は前回の続編で、第4回大会に挑む6人のメンバーの課外授業の内容をお届けする。

【前回までのあらすじ】
高校生ロボットSIリーグの第4回大会に挑む愛知総合工科高校のチームメンバー6人と、サポーターのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)2社の顔合わせが6月中旬にあると聞き、早速高校に向かった記者。そこで6人の生徒たちと出会った。彼らは毎週水曜日の午前中の「課外授業」の一環で、高校生ロボットSIリーグの競技課題に取り組んでいる。

<前回記事はこちらから>

サポーターの下でみっちり学ぶ

ロボットチームとPLCチームの2班に分かれて課外授業がスタートした

 生徒たちとあいさつをした後、課外授業が本格的に始まった。

 生徒たちを引率する愛知総合工科高校の住原真一工務主任によると、この日の課外授業は2班に分かれ、ロボットのティーチング(動作を覚えさせること)方法や安全対策、ロボットシステムを制御するプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)のラダープログラムの作成方法などについてみっちり学ぶという。

 「ロボットチーム」は垣見勇我さん、加藤健真さん、白井覚基さんの3人で、TECHNO REACH(テクノリーチ、愛知県長久手市、加藤正己社長)の水野隆宏取締役が講師を務めた。一方、「PLCチーム」のメンバーは田中優奈さん、谷口斗絆さん、中村隼斗さんの3人で、講師役は愛知総合工科高校のOBでもあるテクノリーチSI事業部の嶋本玲央茉さんだ。

 6人の生徒たちは電子情報科3年生のクラスメートで、いわば“顔なじみ”。それゆえ2班とも和気あいあいとした雰囲気で、課外授業が進行した。


 記者「最初はやはり基本から学ぶんですね」

 住原工務主任「そうです。当面はティーチングやラダープログラムなど、ロボットシステムを構築する上で必要とされる基礎知識を全員で学習し、全員でステップアップを目指します」


 聞けば、6人のメンバーは数ある課外授業の候補の中から高校生ロボットSIリーグの競技課題を第一希望で選択したという。「どうりで真剣で、熱心なわけだ」と納得した。

理解度が高い

実際にロボットをティーチングするロボットチーム。左から加藤健真さん、垣見勇我さん、白井覚基さん
テクノリーチの水野隆宏取締役の指導にも熱が入る

 ロボットチームの3人は第4回大会で使用する安川電機の垂直多関節ロボットのティーチング方法や安全対策について学習した。
 ティーチングにおいて重要な座標系の考え方などのレクチャーを受けつつ、課外授業の後半には3人ともティーチングペンダントを持って実際にロボットを動かしていた。

 生徒たちは別の実習で、過去に三菱電機製の垂直多関節ロボットを操作した経験があるそうだ。ロボットの操作経験がない記者が見ても「手慣れているな」と感じた。

 課外授業が終わった後、水野取締役に感想を聞いた。


 記者「生徒たちはどうでしたか?」

 水野取締役「とてものみ込みが早いです。基礎的なことを教えれば、ある程度理解してもらえます」

ラダープログラムを作成するPLCチーム。左からテクノリーチの嶋本玲央茉さん、谷口斗絆さん、中村隼斗さん、田中優奈さん
専用ソフトウエアに登録している様子

 一方、PLCチームは嶋本さんの指導の下、第4回大会で使用する三菱電機製のPLCのラダープログラムを作成しており、3人とも1台のパソコン(PC)の画面にくぎ付けになっていた。

 PCの画面上には「X10」「M100」などの見慣れぬ記号のオンパレード。聞けば、ラダープログラム上に割り当てるデバイスなどの名称を専用ソフトウエアに登録していたそうだ。記者にはめまいがする内容だが、彼らは過去に実習でPLCのラダープログラムを組んだ経験があり、素人目にも「分かっていそう」な印象だった。
 水野取締役と同様、嶋本さんにも授業終了後にコメントを求めた。


 記者「今回の講義はどうでしたか?」

 嶋本さん「ラダープログラムの作成方法やロボットハンドを開閉する際の通信方法について指導しました。生徒たちは皆、理解度がとても高いです」

目標は“連覇”

 課外授業に一回同席しただけで、6人のモチベーションの高さや理解度の高さは伝わってきた。記者も講師たちと同様に、「頼もしいな」と感心した。
 課外授業の終盤には一人一人に感想を聞いた。ロボットチームのメンバーもPLCチームのメンバーも口をそろえて「実習で教わったことはあったが、ここまで深く経験したのは初めて」などと話していた。

 実は、その時にチームを率いるキャプテンがいることも分かった。PLCチームにいた谷口さんだ。というわけで谷口さんに意気込みを聞いた。


 記者「第4回大会の目標を教えてください」

 谷口さん「(間髪入れず)もちろん“連覇”です」

――vol.5に続く
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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